「高齢の親の髪を自宅で切ってあげたいけれど、どんな長さ・切り方が扱いやすいのか分からない」——そんなお悩みをお持ちではないでしょうか?高齢者のカットは、若い方のカットとは違い、体位や姿勢への配慮も必要になるため、迷う美容師さんも少なくありません。
- 長さの目安は「耳にかかるくらい」が扱いやすい
- グラデーションカットで後ろに流れを作ると、ブロー後もまとまりやすい
- 自宅・現場どちらでも、体位や姿勢への配慮が仕上がりを左右する
まえがき
今回は、美容師さんからいただいた質問への回答として、高齢のお客様(お年寄り)のカット方法のコツをご紹介します。自宅で家族の髪を切ってあげている方にも分かりやすいよう、専門用語を解説しながら、動画と画像を見つつポイントを詳しく説明していきます。
長さの設定は「耳にかかるくらい」です。まずは動画からご覧ください。
女性の長さ別の切り方は、以前まとめた記事もあわせてご覧ください。
▪女性用 長さ別 髪の切り方をまとめています
長さ別 女性 髪の切り方もあわせてご参考にしてください。
高齢者カットの基本方針(長さ設定とグラデーションを使う理由)
高齢者のカットで長さ設定を決める際は、「耳にかかるくらい」を基準にすると扱いやすいことが多いです。短すぎず、動きも出しやすいため、日々のお手入れの負担を減らせます。
グラデーションカットのやり方については、以前詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
なぜグラデーションが高齢者カットに向くのか
後ろに下がるように切ることで、ブローした際に後ろへ綺麗な流れができます。襟足が短く、メリハリが出やすいのも特徴で、高齢の方はもちろん、多くのショートスタイルで使われる形です。
動画で見る高齢者カットの流れ
今回の動画には、残念ながら音声解説がありません。そこで、ここからは画像を使いながら、動画のポイントを一つひとつ解説していきます。
画像で解説|高齢者カットの手順とポイント
ベースの長さを決める
まず最初に、切る長さを決めます。今回は耳にかけられるくらいなので、ギリギリ耳にかかる長さで切っていきます。
長さを決めたら耳スレスレで切って、それを今度は少し持ち上げてグラデーションを入れていきます。
サイド〜顔まわりのグラデーション
頭の丸みに合わせて、周り込みながら同じくグラデーションに持ち上げて切ります。前髪からサイドに繋がる箇所も、後ろ下がりでトップに対して45℃くらいのグラデーションをつけるイメージです。
グラデーションの切り方は以前詳しく説明しているので、お手数ですがあわせてご確認ください。
角度をつけたグラデーションを正確に再現したい方には、こちらのようなコームが役立ちます。
耳後ろ〜襟足のつなぎ
耳の後ろ(サイドとバックの繋ぎ)もグラデーションに持ち上げながら、横は頭の丸みに沿って周りながらカットしていきます。三つ襟とサイドの繋がりは、オンザスキン(地肌に添わせて下ろし)コームチョップで整えます。
ネープ(襟足)の整え方
ネープを整える際、ぼんのくぼから下がくぼんでいる方は、少し下を向いてもらった方が綺麗に切れます。
チェックカットで表面を整える
横スライス(横で持って切った)ラインを縦にチェックカットします。縦で切る際は頭皮に合わせて、オンベース(くっ付けた状態)から約45℃〜67.5℃くらい上が長くなるよう傾けて切ります。
頭頂部を真上に持ち上げる位置が垂直(90℃)になるので、そこから45℃にずらしていくと、上の画像の位置となります。
ここまでで、ベースカットが終了です(反対側も同じく切ります)。後ろに流すスタイルで襟足が短く、グラデーションによりメリハリが出やすいため、高齢の方はもちろん、多くのショートスタイルで使われる形です。ここから、さらに馴染みやすくメリハリのあるスタイルにしていきます。
スキバサミで毛先に動きを出す
サイドをスキバサミで縦に入れて、毛先に動きと柔らかさを足していきます。顔周りはバツッとした印象になると古く見えやすいため、毛先を確かめながら慎重にスキバサミを入れます。
グラデーションで持ち上げて切っているので、スキバサミも同じように持ち上げて入れます。ベースと質感調節・毛量調節は基本的に同じ位置で行います。
💡 お年寄りのカットでは、主に表面は毛先のみ軽くすることが多いです。襟足は根元付近から軽くすることもよくあります。頭頂部から45℃に引いた後に毛先を削ぐイメージです。全体的にグラデーションスタイルは下・中間・上で支点を決め、そこから45℃ずらし引きながらカット&セニングシザーを入れていきます。
毛先の質感調整をご自身で行いたい方には、低すき率のスキバサミが扱いやすいです。
仕上がり・ブロー後のイメージ
カットだけなら自然なショートですが、ここからブローしたりパーマをかけるスタイルが、高齢者の方を含めてショートスタイルでは人気です。
ブローまですると、こういった仕上がりになります。耳にかけてこういった雰囲気のマダムをよく見かけます。スッキリしていて手入れが簡単なため、おすすめのスタイルです。仕上がりのイメージは、こちらの記事もご参考にどうぞ。
ポイントはメリハリ(グラデーションによる)、それから必要な所は残し、必要ない所は削いでいく点です。
高齢者カットで気をつけたい配慮ポイント
体位・姿勢への配慮
Yahoo!知恵袋などでは、「長年通った美容室で“手が震えるので難しい”と断られた」という声や、外出が難しい親の散髪先に悩む相談が見られます。⚠️ 刃を頭皮に強く当てず、椅子や体位を安定させ、必要に応じて休憩を挟むといった配慮が大切です。無理な体勢を長時間続けさせないようにしましょう。
自宅でカットする場合の準備
自宅でカットする際は、髪の飛び散りを防ぐケープと、椅子・周辺の養生を用意しておくとスムーズです。
自宅で高齢者の髪を切ってあげる際には、こういったケープが役立ちます。
美容室に連れて行く場合の伝え方
高齢の親を美容室に連れて行くことは、決して迷惑ではありません。事前に体調や希望の長さ、震えやすさなどを伝えておくと、当日のやり取りがスムーズになりやすいです。手入れが楽なスタイルをお探しの方には、こちらの記事もあわせてご覧ください。
よくある質問
💬 よくある質問
高齢者カットで長さはどれくらいが扱いやすいですか?
耳にかかるくらいの長さが目安です。短すぎず動きも出しやすいため、日々のお手入れがしやすい長さとして扱いやすいとされています。
グラデーションカットとはどんな技法ですか?
髪を持ち上げながら段状に切り、後ろに向かって重みを残す技法です。ブロー後に自然な流れが出やすくなります。
自宅でカットする際に気をつけることは?
刃を頭皮に強く当てない、椅子や体位を安定させる、休憩を挟むといった点への配慮が大切です。無理な体勢を長時間続けないようにします。
高齢の親を美容室に連れて行くのは迷惑になりますか?
決して迷惑ではありません。事前に体調や希望の長さを伝えておくと、当日のやり取りがスムーズになりやすいです。
体を思うように動かせない場合、カット中の姿勢はどうすればいいですか?
体が安定する姿勢を優先し、無理に上を向かせたり長時間同じ体勢を保たせたりしない配慮が必要です。
あとがき
今回は、美容師さんからのありがたい質問をきっかけに、実際に私が切った動画を探し、音声が入っていなかった分をポイントとして補足しました。
自宅でカットを学ぶ際には、私のYouTubeチャンネルもおすすめです(動画本数1200本以上で、そのほとんどがカット動画です)。
引き続き「⑦美容師」タグにて、ブローの仕方、セルフカットや自宅でのカット方法もたくさんご紹介していきますので、よろしくお願いします。


















