- ヘアカラーの色落ちは色相環の混色理論から全色横断的に予測できる
- アッシュ系は濃いめで緑、明るめでホワイトベージュに近づきやすい
- ピンク系は濃いめでカッパー、薄めでピンクベージュに落ち着きやすい
「アッシュに染めたのに、少し緑っぽくなってきた気がする」「ピンクがすぐ薄くなった」——施術のたびに、こうした声を耳にします。実は色の落ち方は、染める前からある程度予測できます。ヘアカラーは色相環という色彩理論の上に成り立っているため、狙った色とベースの明るさが分かれば、色落ち後にどんな色へ近づいていくかも見えてくるからです。
今回は、実際の施術例をもとに、色相環の考え方から「何色に染めたら、色落ち後は何色になるのか」を色ごとに解説していきます。ご自身の髪色に当てはめながら読んでみてください。
ヘアカラーの色落ちは色相環で全色を考察できる
色相環では、青紫と黄色を結ぶ縦のラインを基準に、色は左右どちらかへとズレていきます。髪の色素も同じ考え方が当てはまり、色素が抜けていく過程で、ベースの黄色みと使った色素の関係によって、行き着く先の色がある程度決まってきます。
今回は人気の高い①アッシュ②ピンク③ベージュ④ホワイトの4系統をピックアップし、実際の施術例をもとに解説していきます。
ブリーチ後ダブルカラーの色落ちの仕方(全色考察)
ブリーチをしてから色を重ねる「ブリーチカラー(2工程カラー)」は、ベースの明るさをかなり削っている分、色落ちの過程がはっきりと出やすいのが特徴です。同じ色を入れても、ベースの明るさ次第で色落ち後の見え方は変わります。ここからは色ごとに、具体的な色の変化を見ていきましょう。
アッシュ系に染めた後は濃いめだと緑、明るめだとホワイトベージュに近づく
ブリーチを1回以上したうえでアッシュ系に染めた場合、ベースの色と使う薬剤の組み合わせによって、緑色〜ホワイトベージュ系まで色の変化に幅が出ます。
濃いめの青を入れた直後は鮮やかな青ですが、1週間ほど経つと徐々に緑っぽさが出てくる方が多い傾向にあります。
緑色に変化する原因
元の明るさが下の画像くらいのベースで濃いめの青を入れると、1週間後には緑色に見えやすくなります。
具体的には、14トーン以上の明るいベースの方は、濃いめに青を入れる際に注意が必要です。明るさ・トーンの目安は、以下の記事も参考にしてみてください。
緑色に退色する原因としては、ベースが黄色みの強い状態で濃いめの青を重ねると、施術直後は青の濃さで黄色みが抑えられている状態です。青色の色素が先に抜けていくと、本来の「黄色+青=緑」という混色の原理が働きます。
現場での見極めとレベル別の対処法
ウェット状態とドライ状態ではアンダートーンの見え方が変わるため、判断を誤りやすいポイントです。黄みを消したい意識が強いと補色を入れずに塗布してしまい、後から緑に転ぶケースが少なくありません。ダメージが強い髪では色素が過剰に入り込み、くすみすぎてしまうこともあります。
見極める際は、必ずドライの状態で黄みのレベルを確認します。
- 15レベル以上(ペールイエロー):緑に転ぶリスクが高く、紫の補色が必須
- 12〜14レベル(イエロー):リスクは中程度、紫の補色を推奨
- 10レベル前後(オレンジイエロー):緑よりもくすみが出やすい
対処法としては、アッシュ剤に紫(バイオレット)を10〜20%程度ミックスして黄みを打ち消すのが基本です。クリア剤を20〜30%混ぜて色素濃度を調整すると、色の沈み込みも防ぎやすくなります。毛先だけ時間差で塗布したり、オキシを3%以下に抑えたりする工夫も有効です。万が一緑に転んでしまった場合は、補色にあたるピンク系やラベンダー系を薄く調合して中和するか、一度シャンプーで色素を軽く落としてから塗り直すことでリカバリーできます。
13トーン以下の茶髪の場合
13トーン以下の茶髪ゾーンから赤みのあるベースの場合は、濃いめに青を入れても緑色には見えにくい傾向があります。
上の写真は、明度(トーン)はあまり変えずに彩度だけを濃く入れたパターンです。
こちらは明度・彩度ともに濃く入れてブルーブラックに染めた例です(13トーン以下の茶髪ベース)。茶髪からアッシュ系(グレージュやブルージュ)に染める方法は、以下の記事も参考にしてみてください。
色が落ちる過程では青みが先に抜けやすく、黄みだけが残ると徐々に緑っぽく見えてきます。紫系のカラーシャンプーを予防的に併用するのは、現場でもよく行われる基本的なケア方法です。⚠️ 洗浄力が控えめな設計のため、洗い残しには注意が必要という声もあります。
ホーユー ソマルカ カラーシャンプー アッシュ
アッシュの緑っぽさ・黄ばみが気になってきた方向けの一本です。
サロン専売品ならではの色持ちが期待できますが、洗浄力は控えめなので洗い残しには注意が必要という声もあります。
Amazonで見るピンク系は濃いめでカッパー、薄めでピンクベージュに落ち着く
ピンクは2番の赤と20番の青紫を混ぜた中間の23番、赤みの紫が基本的なヘアカラーのピンクの色となります。ただし、実際は髪が黒でも茶髪でも23番を使ったからといってピンクに見えるわけではありません。ピンク系カラーの基本的な考え方は以前詳しく解説していますので、さらに詳しく知りたい方は以下も参考にしてみてください。
ピンク系ヘアカラーのレシピと調合の考え方や色持ちを良くする方法
ピンクベージュに変化する原因
綺麗なピンクに染めるためには、髪をしっかり明るくする必要があります。トーンで言うなら17トーン以上が目安です。
ヘアカラー剤を使う場合も同じで、ピンク色に染めるには画像左くらいまで明るくする必要があります。ピンク色が色あせてくると黄色に近づいていくため、ピンクベージュへと変化します。
ピンク色は色素が小さいために色が抜けやすい一方、髪の奥深くまで色が届くため完全に取れきるわけではなく、うっすらピンクの残るピンクベージュで落ち着くことが多いようです。
茶髪・ブリーチ1回の場合はカッパーへ
茶髪(ブリーチなし)に濃いめのピンクを入れると、以下のような染まり方になります。
濃いめに入れると24番くらいの赤紫になります。マット系を混ぜてうっすらと柔らかな色に調節したり、ライトナーで薄めてピンクに近づけたりする方法もありますが、ベースが茶髪の場合は5番(だいだい色=カッパー)へと比較的早めに変化してしまう傾向があります。
これは失敗ではなく、日本人の髪質でよく起こる自然な退色現象です。ピンクの色素は粒子が小さく先に抜けていくため、元々のベースに残る赤み・オレンジみが表に出てオレンジ寄りに見えてきます。中明度(ブリーチなし〜1回)のベースでは赤茶っぽいオレンジに、ハイトーン(ブリーチ2回以上)のベースでは残ったピンクの赤みとベースの黄みが混ざり、コーラルに近いオレンジへと変化しやすい傾向があります。淡いピンクベージュやピンクブラウンでは特にオレンジ感が出やすく、染めてから1週間ほどで「もう色が変わってしまった」というご相談をいただくことも少なくありません。
オレンジっぽさを抑えたい場合は、染める段階で少量のアッシュ(青)をミックスしたピンクアッシュにする、あるいはラベンダーを混ぜて黄みを抑えておく方法が効果的です。退色を見込んで少し濃いめに入れておいたり、中途半端な明るさを避けてしっかりオレンジを抜くか、濃いピンクブラウンで落ち着かせたりする調整も現場ではよく行います。ホームケアでは、38℃前後のぬるま湯ですすぐ、髪をすぐ乾かす、160℃前後を超える高温アイロンを避けることが色持ちの助けになります。ピンクシャンプーで色素を補充しつつ、オレンジが強く出てしまった場合はピンクシャンプーに少量のアッシュ系を混ぜて使うという工夫を取り入れている方もいます。
Kyogoku ピンクパープル カラーシャンプー
ピンクベージュへの退色をゆるやかにしたい方向けの一本です。
パーソナルカラー診断と連動した人気シリーズですが、髪質によっては染まりすぎに注意が必要という声もあります。
Amazonで見るベージュ系はアッシュもピンクも元のベージュに戻るのみ
ベージュ系に染めた場合は、単純にベージュ(ベースの黄色み)に戻っていくだけです。例えばアッシュ系で少しくすませたアッシュベージュの場合は、以下のような変化になります。
(左が染める前、右がアッシュベージュに染めた後です)元の色である左側に戻っていくのみで、ピンクベージュも同様の変化をたどります。
これは、ベージュ系に染める場合は元のベージュ感を保つ程度に赤や青を薄くのせているため、赤や青が抜けていく過程で自然とベージュへ戻っていくためです。逆に、赤や青を濃く入れてしまうとベージュ系の見え方ではなくなってしまいます。
ホワイトに染めた場合もベースの色に戻るのみ
ベージュ系と同じく、ホワイトカラーのレシピはまずベースの色を限りなく20トーンまで近づけます。
なるべくメラニン色素を削ることで透け感と色のにごりがなくなり、ホワイトに近い色に染めることができます。ホワイトに染めるレシピとしては、明るくなった髪にペールイエローの反対色である青紫系の色を薄くのせるのが基本です。
5%程度の青紫系を薄くのせることで黄色みをぼかし、髪を白く見せることができます。ホワイトシルバーやホワイトベージュなどのホワイト系カラーも、同じように薄く紫みの青やベージュをのせることで作ることができます。
カラーシャンプー(紫系)で薄く黄ばみをぼかす程度でも染められますが、色が落ちると元のベースの色に戻っていく点は同じです。
ルコ カラーシャンプー ムラサキ
ホワイト・シルバー系の透明感をキープしたい方向けの一本です。
紫の色素で黄ばみを抑えやすい設計ですが、放置時間を誤ると色がつきすぎるという声もあります。
Amazonで見る色落ちを防いで長持ちさせる方法
💡 ポイントは、狙っている色と反対色の関係にある色素を薄く補いながら、髪への負担が少ない範囲でケアを重ねていくことです。色ごとに退色しやすい方向が異なるため、ケアの軸も色によって変わってきます。また、ベースを大きく明るくせず暗めのトーンで染めた場合は、色素が抜けきるまでの猶予が生まれやすく、比較的色持ちが良い傾向にあります。
🎯 色系統別・色落ちの傾向とケアの考え方
| 色系統 | 色落ちの傾向 | ケアの考え方 |
|---|---|---|
| アッシュ系 | ベースが明るいと緑寄りになりやすい | ムラサキ系カラーシャンプーで黄ばみ・緑っぽさを抑える |
| ピンク系 | 明るめはピンクベージュ、濃いめ・ベース茶髪はカッパー寄りに | ピンク・パープル系カラーシャンプーで退色をゆるやかに |
| ベージュ・ホワイト系 | 元のベースの明るさ・黄色みに戻っていく | ムラサキ系カラーシャンプーで黄ばみをぼかしつつ様子を見る |
いずれの色系統でも、洗浄力の強すぎないシャンプーへの切り替えや、紫外線・摩擦を避ける日常のケアが色持ちの土台になります。トリートメントで髪内部の隙間を補うことも、色素の流出をゆるやかにする助けになります。
カラーシャンプーの正しい使い方
カラーシャンプーの効果を引き出すには、使い方にもいくつかポイントがあります。まず、お湯でしっかり予洗いをして、スタイリング剤や汚れを先に落としておくことが大切です。汚れが残ったまま使うと色素がムラになりやすくなります。
量は普段のシャンプーの2〜3倍を目安にし、手のひらでしっかり泡立ててから、頭皮よりも髪の毛先を中心につけていきます。泡を全体になじませたあと、3〜5分ほど置く時間を作ると効果を感じやすくなります(しっかり染めたい場合は5〜15分ほど置くこともあります)。放置中に目の粗いコームで軽くとかしておくと、ムラになりにくくなります。すすぎは38℃前後のぬるま湯で行い、熱いお湯は避けるのがポイントです。トリートメントは、カラーシャンプーのあとに仕上げとして使うとよいでしょう。
使用頻度は、色落ちを感じ始めたタイミングからで十分です。色をキープしたい場合は2〜3日に1回、低刺激なタイプであれば毎日使う方もいます。
よくある質問
💬 よくある質問
色落ちを遅らせる方法は?
洗浄力の高すぎないシャンプーへの変更、色に合わせたカラーシャンプーの併用、紫外線・摩擦を避けることが基本です。カラーシャンプーは普段の2〜3倍の量をしっかり泡立て、3〜5分ほど置いてから38℃前後のぬるま湯で流すと効果を感じやすくなります。
アッシュが緑っぽくなるのはなぜ?
ベースの黄色みが濃いめの青色素より先に表面化し、「黄色+青=緑」という混色の原理で緑寄りに見えるためです。特に15レベル以上の明るいベースはリスクが高く、紫の補色を入れることで抑えやすくなります。
ピンクは何日で色落ちする?
色素の粒子が小さく初期の退色は感じやすい一方、髪の奥まで色が届くため完全には抜けきらず、数週間かけてベースの明るさに応じてピンクベージュやオレンジ・カッパー系へ近づいていくのが一般的です。
ホワイトはどのくらいで色が落ちる?
ベースの黄色みを抑える青紫系を薄くのせているため、色が抜けると元のベースの明るさ・黄色みに戻ります。シャンプーの頻度や紫外線量によって進み方には個人差があります。
カラーシャンプーはどの色にも効果がある?
アッシュにはムラサキ系、ピンクにはピンク・パープル系など、狙う色に合った色素のカラーシャンプーを選ぶことが重要です。色が合っていないと期待した変化を感じにくくなります。
あとがき
このように、色は染める前から色落ちの方向まである程度見えています。今は各サロンでカラーシャンプーを取り扱っていることも多いかと思いますが、色が落ちても緑っぽくならないように、あるいはホワイトシルバーを保てるように、そうしたアフターケアまで含めてご提案することが、満足度を高めるポイントの一つになるのではないかと思います。
女性向け:自分に似合う髪色を見つける方法(髪色診断)ブリーチ(あり・なし)
良ければあわせて参考にしてみてください。
ヘアカラー・ブリーチは薬剤による施術です。肌に合わない場合があるため、パッチテストの実施をおすすめします。










