- 市販カラー剤で透明感を出すための製品選びがわかる
- 初心者でも失敗しない、色ムラを防ぐ塗り方の全手順
- 2025年最新のトレンドカラーと、髪質に合わせた選び方
ヘアカラーは使用48時間前にパッチテストが必須です。 アレルギーは突然発症します。 詳しい手順は本文の安全ガイドで必ず確認してください。
はじめに
市販品でも透明感カラーは実現できます。 こんにちは、美容師歴20年以上の「髪技屋さん」です。 「セルフカラーで透明感を出したいけど、ムラになるのが怖い」「そもそも市販品でアッシュやベージュ系の透明感って出せるの?」と悩んでいませんか? 確かに、透明感カラーは美容室でも技術が必要なメニューです。
しかし、正しい手順と製品選びさえ間違えなければ、自宅でもサロン帰りのような「透け感」を手に入れることは可能です。 この記事では、プロの視点から「市販カラー剤」に特化し、失敗しないための準備、色ムラを防ぐ具体的な塗り方、そして2025年のトレンドカラー選びまで、髪の染め方の全知識を徹底解説します。
セルフカラーでよくある失敗とその原因
セルフカラーで「失敗した!」と感じる瞬間は、ほとんどが「色ムラ」です。 特に透明感カラーは、少しのムラでも目立ちやすいのが難点。 なぜプロはムラなく染められて、セルフでは失敗しやすいのでしょうか。 それは、髪の状態を見極めずに塗ってしまうからです。
私が担当したお客様の、典型的な失敗例を紹介します。
【実体験1: 根元だけ明るい「逆プリン」状態】
先日ご来店された20代女性、髪質は太めでしっかりしていました。市販の「ビューティラボ」の明るめアッシュ系を使用し、初めてのセルフカラーに挑戦。元の髪は黒髪(カラー歴なし)でした。結果は、頭頂部と根元だけが明るい金髪のようになり、中間から毛先は暗いままという「逆プリン」状態に。原因は、薬剤を⚠️体温が高く染まりやすい根元からベッタリ塗ってしまったこと。プロの視点では、これは「塗布順」の典型的なミスです。染まりにくい襟足や毛先から塗布する基本を守れば防げました。リカバリーとして、暗くなった毛先に合わせて根元をトーンダウンし、均一な色に修正しました。
この他にも、よくある失敗TOP3を見ていきましょう。
セルフカラー失敗 TOP3と原因
❌ 失敗1: 根元だけ明るい
原因: 頭皮の温度で根元の薬剤が過剰に反応。染まりやすい根元から塗ってしまうと必ず起こります。
❌ 失敗2: 後頭部が暗い・ムラ
原因: 薬剤の塗布量不足。見えない部分は塗った「つもり」になりがち。薬剤はケチると必ず失敗します。
❌ 失敗3: 毛先だけ暗く沈む
原因: ダメージ毛(毛先)は薬剤を吸い込みやすい。元気な根元と同じ感覚で毛先に薬剤を乗せると、色が入りすぎて濁ります。
これらの失敗は、すべて「薬剤を塗る順番」と「塗る量」をコントロールすることで防げます。 次のセクションで、安全な準備と正しい手順を学びましょう。
安全性・準備ガイド
パッチテストは、あなた自身を守る最も重要な作業です。 「透明感」や「仕上がり」を気にする前に、まず安全性を確保しましょう。 ヘアカラーによるアレルギー(ジアミンアレルギー)は、ある日突然発症します。 「今まで大丈夫だったから」という理由は通用しません。
アレルギーを発症すると、頭皮のかゆみ、ただれ、顔の腫れなど、深刻な症状を引き起こす可能性があり、最悪の場合、アナフィラキシーショックを起こす危険性もあります。 必ず、使用するカラー剤で、使用する48時間(2日前)にテストを行ってください。
- 使用する薬剤(1剤と2剤を混ぜたもの)を少量作ります。
- 絆創膏などに薬剤を少量つけ、腕の内側など目立たない場所に貼り付けます。
- そのまま触らずに48時間放置し、赤み、かゆみ、腫れなど異常がないか確認します。
- ⚠️ 異常が出た場合はすぐに洗い流し、その薬剤の使用は絶対に中止してください。
万全な準備物リスト
セルフカラーは「準備が8割」です。途中で「アレがない!」と慌てないよう、すべて揃えてから始めましょう。
- カラー剤: 肩より長い人は2箱必須。ケチるとムラになります。
- ケープ・汚れてもいい服: 首元にタオルも巻きましょう。
- イヤーキャップ: 耳は染まりやすいので必須です。
- 手袋: 付属のものでOK。
- コールドクリーム: ワセリンや油性クリームを顔まわり、耳、首筋に塗って皮膚を保護します。
- ダッカール(髪留め): 髪を正確に分ける(ブロッキング)ために4本以上あると便利。
- 時計: 放置時間を正確に測るため。
- ラップ: 塗布後に頭全体を覆うと、保温と乾燥防止になります。
透明感カラーのセルフカラー施術方法
準備が整ったら、いよいよ塗布です。 「泡タイプ」でも「クリームタイプ」でも、基本は同じ。 プロが必ず行う「4分区(ブロッキング)」という技法を使えば、塗り残しやムラを劇的に減らせます。 4分区とは、髪を「上下左右」の4つのブロックに分けて、染まりにくい部分から順番に塗っていくテクニックです。
📋 セルフカラー成功の手順
パッチテストを48時間前に実施
髪を4分区に分け、均等に塗布
説明書通りの時間で丁寧に洗い流す
※4分区=髪を上下左右4つに分ける塗布技法。均等な薬剤配分により色ムラを防ぐプロの基本テクニック
【実体験2: 泡カラーの塗布量不足】
30代女性、髪は細めですが量は多め、胸までのロングヘア。元の髪色は8トーンのブラウンが色落ちした状態でした。市販の「リーゼ 泡カラー」でアッシュ系に挑戦。泡タイプは簡単だと思い、1箱で全体に揉み込んだそうです。結果、表面は染まったものの、内側、特に後頭部が全く染まっておらず、まだら模様に。原因は「薬剤(泡)の絶対量不足」です。⚠️泡カラーは揉み込むと消えていくため、ロングヘアの方は「泡で髪が隠れる」くらい大量に使わないと中まで浸透しません。この方には「ロングヘアは必ず2箱使うこと」「泡をケチらず、地肌につける勢いで揉み込むこと」を指導しました。
詳しい塗布手順
STEP1: 4分区(ブロッキング)
髪をとかした後、(1) 頭頂部から耳後ろを通る線、(2) 真ん中の分け目、で髪を「4つのブロック」に分け、ダッカールで留めます。
これで塗りにくい後頭部(下半分)が独立し、格段に塗りやすくなります。
STEP2: 塗布(染まりにくい場所から)
塗る順番が命です。
「(1) 襟足 → (2) 後頭部(下のブロック) → (3) サイド(上のブロック) → (4) 頭頂部」
の順番で塗ります。体温が低く染まりにくい襟足から始め、一番染まりやすい頭頂部を最後にします。
【泡タイプの場合】
(例: リーゼ 泡カラー、ビューティラボ ホイップヘアカラー)
泡をたっぷり手に取り、上記の順番でブロックごとに揉み込みます。特に後頭部は「泡で髪を包み込む」イメージで、内側までしっかり泡を行き渡らせてください。
施術時間は5〜10分程度で素早く行いましょう。
【クリームタイプの場合】
(例: サイオス オレオクリーム、ロレアルパリ エクセランス)
ハケを使って、根元から少し離した中間部分から塗り始めます。根元は最後に塗ることで、「逆プリン」を防ぎます。
STEP3: 放置と乳化
全体を塗り終えたら、ラップで髪全体を包みます。
説明書通りの時間(通常20〜30分)を正確に守ってください。
⚠️長く置いても明るく染まるわけではなく、ダメージが進むだけです。
時間が来たら、シャワーで流す前に「乳化」を行います。 少量のぬるま湯を髪につけ、薬剤と髪を優しくマッサージするように揉み込みます。 これにより、色が均一になり、頭皮についた薬剤も落ちやすくなります。
STEP4: 洗い流し
ぬるま湯で、カラー剤の色が出なくなるまで、これでもかという程しっかりすすぎます。
その後、付属のトリートメント(またはカラー専用シャンプー)で2回洗い、しっかり乾かして完了です。
髪質・ベース別のカラー選びのコツ
「透明感」とは、髪が光に透けたような、赤みのない色合いのことです。 日本人の髪はもともと赤みが強いため、その赤みを打ち消す「補色」(緑=オリーブ、青=アッシュ)が入ったカラー剤を選ぶのが成功の鍵です。
2025年のトレンドも引き続き、赤みを抑えた「ピンクベージュ」や「オリーブグレージュ」が人気です。 自分のベース(元の髪色)や髪質に合わせて選びましょう。 パーソナルカラーも参考にすると、肌色に合う透明感が見つかりますよ。
🔵 泡タイプ(リーゼ等)がおすすめな人
- セルフカラーが初めての方
- とにかくムラなく染めたい方
- 髪が細く、量が少ない方(1箱で足りる場合も)
- おすすめカラー: 「クールピンク」「クリアラベンダー」
🟠 クリームタイプ(サイオス等)がおすすめな人
- 髪が太く、染まりにくい方
- 根元だけ染める「リタッチ」がしたい方
- 白髪も少し気になる方
- おすすめカラー: 「クリスタルベージュ」「アッシュ系」
黒髪から染める場合、パッケージ写真のような明るい透明感を出すのは難しいです。 まずは「ブリーチなしでも高発色」と書かれたシリーズの、アッシュブラウンやピンクブラウンから挑戦し、元の赤みを抑えることから始めましょう。 透明感カラーはベースの明るさが重要です。
色持ちを良くする!メンテナンス方法
カラー専用シャンプーで色持ちが1.5倍(体感値)長くなります。 透明感カラー、特にアッシュ系やピンク系は、残念ながら色落ちが非常に早いのが宿命です。 色落ちの最大の原因は「毎日のシャンプー」と「熱」です。 染めた当日はもちろん、最低でも24時間はシャンプーを我慢しましょう。
染めた後の1週間は、髪のキューティクルが不安定で、色が最も流出しやすい「ゴールデンタイム」です。 この期間にどうケアするかで、色持ちが全く変わってきます。
⚖️ セルフカラー NG vs OK
❌ NG行動
- 洗浄力の強いシャンプー(市販の高級アルコール系)
- 40℃以上の熱いお湯ですすぐ
- 濡れたまま放置(自然乾燥)
- 高温のヘアアイロンを毎日使う
✅ OK行動
- カラー専用シャンプー(アミノ酸系)を使う
- 38℃以下のぬるま湯ですすぐ
- お風呂から出たらすぐに乾かす
- 流さないトリートメントで熱から保護する
特にアッシュ系(緑・青)の色落ちを防ぎたいなら「紫シャンプー(ムラシャン)」、ピンク系の色落ちを防ぎたいなら「ピンクシャンプー」を使うのが最も効果的です。 (例: got2b カラーシャンプーなど) これらはシャンプーしながら色素を補充してくれるため、黄ばみが出てくるのを遅らせ、ヘアケアと色持ち維持を両立できます。
よくある質問(FAQ)
セルフカラーでよくある疑問にお答えします。 初心者の方が不安に思う点をまとめました。
Q1: 黒髪からでも透明感カラーは染まりますか?
A1: 限界はありますが、ブリーチなし専用の透明感カラー(例: リーゼ泡カラーの「ブリーチなしでも高発色」シリーズなど)を選べば、自然なブラウンベースの透明感は出せます。ただし、パッケージ通りの明るさは難しく、⚠️元の髪が暗いほど赤みが出やすい点に注意が必要です。
Q2: 泡タイプとクリームタイプ、どちらが良いですか?
A2: 初心者でムラを最小限にしたい方は「泡タイプ」が簡単です。ただし、薬剤が緩い分、しっかり揉み込まないと逆にムラになります。根元だけ染めるリタッチや、しっかり色を入れたい場合は「クリームタイプ」が適しています。
Q3: 色ムラになった時のリカバリー方法は?
A3: 髪のダメージを避けるため、最低1週間は空けてください。一番安全なのは、ムラになった部分より「少し暗い」色で染め直すことです。無理に明るくしようとすると、さらに深刻なムラとダメージにつながります。
まとめ
セルフカラー成功の鍵は、準備と正しい手順です。 市販ヘアカラーで透明感を出すことは、決して不可能ではありません。 「パッチテスト」「4分区」「塗る順番」「薬剤の量」、そして「アフターケア」。 この基本を守るだけで、あなたのセルフカラーの仕上がりは劇的に変わります。
この記事で紹介した「失敗しないコツ」を参考に、2025年のトレンドである透明感カラーに、ぜひ挑戦してみてください。 正しい知識があれば、セルフカラーはあなたの大きな武器になります。
🎥 セルフカラーの塗布手順を動画で確認したい方は、 YouTubeチャンネルもチェックしてください!
📚 参考文献
- 花王株式会社(リーゼ)公式サイト
- ヘンケルジャパン株式会社(サイオス・got2b)公式サイト
- ホーユー株式会社(ビューティラボ)公式サイト
- 日本ロレアル株式会社(ロレアルパリ)公式サイト
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