- なぜ茶髪からグレージュにすると色ムラや緑っぽさが出るのかが分かる
- ムラなく均一なグレージュに染めるプロの塗り方手順が分かる
- 今の髪色に最適な市販グレージュカラー剤の選び方が分かる
ヘアカラーは使用48時間前にパッチテストが必須です。 アレルギーは突然発症します。 詳しい手順は本文の安全ガイドで必ず確認してください。
はじめに
茶髪からグレージュへのセルフカラー成功の鍵は「ベースの赤み消し」です。 こんにちは、美容師の髪技屋さんです。今の茶髪に少し飽きてきて、「透明感のあるグレージュにしてみたい!」と思う方、多いですよね。グレージュは2025年も引き続きトレンドの透明感カラーの代表格です。
しかし、市販カラーで茶髪からグレージュに挑戦して、「なぜか緑っぽくなった」「根元だけ明るい」「全然色が入らなかった」という声をよく聞きます。この記事では、あなたの今の茶髪をムラなく綺麗なグレージュに変えるための、プロの塗り方と失敗しないコツを徹底解説します。
セルフカラーでよくある失敗とその原因
茶髪からグレージュへのイメチェンは、実はセルフカラーの中でも難易度が高めです。なぜなら、日本人の髪はもともと赤みやオレンジみが強く、グレージュ(グレー+ベージュ)の色素とぶつかりやすいからです。
以前、30代女性・髪質は普通毛で、市販の「ビューティラボ ホイップヘアカラー」のグレージュを使ったお客様が相談に来られました。ベース状態は「セルフカラーを繰り返した明るめのオレンジ系茶髪」でした。結果、「毛先が緑っぽく濁り、根元だけ明るく染まってしまった」とのこと。これは典型的な失敗例です。原因分析としては、ダメージでキューティクルが開いた毛先にアッシュ(青)が強く入りすぎ、ベースのオレンジと混ざって濁った緑になったこと。さらに、体温で染まりやすい根元から塗ったため、塗布量のムラも加わり、不均一な仕上がりになったのです。
グレージュ染め特有の失敗TOP3を見ていきましょう。
よくある失敗TOP3と原因
失敗1: 髪が緑色に濁る
原因: ベースの茶髪が「黄み」に傾いている状態で、グレージュに含まれる「青」が強く反応すると、緑色に発色します。特に毛先のダメージ部分で起こりやすいです。
失敗2: 根元だけ明るい(色ムラ)
原因: 薬剤の塗布量が不均一なことが最大の原因です。また、体温で染まりやすい根元(新生部)から塗布を始めると、毛先と色の差がくっきり出てしまいます。
失敗3: グレージュ感が出ない
原因: ベースの茶髪が暗すぎる、または赤みが強すぎる場合、グレージュの色素が負けてしまい、ただの「暗い茶髪」になってしまいます。
これらの失敗は、正しい手順と準備で防ぐことができます。次のセクションで、安全に染めるための準備を確認しましょう。
安全性・準備ガイド
パッチテストは「自分は大丈夫」と思わず、毎回必ず実施してください。 ヘアカラーによるアレルギー(ジアミンアレルギー)は、ある日突然発症することがあります。一度発症すると、今後一切のヘアカラーができなくなる可能性もあり、非常に危険です。
- 説明書に従い、1剤と2剤を少量混ぜ合わせます。
- 混合液を、腕の内側などの目立たない場所に10円玉大に薄く塗ります。
- 自然乾燥させ、そのまま触れずに48時間(2日間)放置します。
- 塗布部に発疹、かゆみ、水ぶくれ、赤み、刺激などの異常が出た場合は、すぐに洗い流し、カラーリングは絶対に行わないでください。
パッチテストで問題がなければ、いよいよ準備です。セルフカラーは準備が8割。以下のアイテムを揃えておくと、スムーズに作業できます。
- 市販のヘアカラー剤(グレージュ系) ※髪の量が多い方、長い方は2箱推奨
- 汚れてもよいケープ、またはタオル、前開きの服
- ワセリン(肌荒れ防止用。顔まわりや耳に塗る)
- ヘアクリップ(髪を分ける用)
- イヤーキャップ
- 手袋(製品に付属)
- タイマー
グレージュのセルフカラー施術方法
グレージュカラーをムラなく染めるには、プロが行う「ブロック分け」と「塗る順番」が非常に重要です。特に泡タイプではなくクリームタイプや乳液タイプ(例:ロレアル パリ エクセランス N)を使う場合は、この手順を守ってください。
📋 グレージュ成功の3ステップ
パッチテスト実施(48時間前)と準備
髪を4分区に分け、襟足から塗布
説明書通りの時間で丁寧に洗い流す
※4分区=髪を上下左右4つのブロックに分ける塗布技法。均等な薬剤配分により色ムラを防ぐプロの基本テクニックです。
これは20代男性・太く硬い髪質の方の事例です。市販の乳液タイプ(例:ホーユー メンズビゲン)でグレージュに挑戦しました。ベース状態は「前回カラーから2ヶ月経ち、根元が2cm黒く伸び、毛先は明るい茶髪」でした。彼は「根元の黒い部分がうまく染まるか不安」と、根元から薬剤をたっぷり塗布してしまいました。結果、根元だけが金髪のように明るくなり、毛先のグレージュと繋がらない「逆プリン」状態に。原因分析としては、新生毛(黒い部分)は健康で染まりやすいのに、体温も加わる根元から塗ったため過剰に発色したのです。解決策として、次回は染まりにくい襟足→後頭部→サイド→頭頂部→最後に根元、という順番で塗布するよう指導しました。
詳しい塗布手順
1. 髪を「4分区」にブロッキング
まず髪を乾いた状態(前日にシャンプーし、当日は整髪料をつけない)でよく梳かします。耳の後ろあたりで髪を前後(左右)に分け、さらにそれを上下に分け、合計4つのブロック(右下、左下、右上、左上)にヘアクリップで留めます。これが4分区です。
2. 染まりにくい「襟足」から塗布開始
⚠️ ここが最重要ポイントです! 根元や顔周りは体温で染まりやすいため、最後に塗ります。まず、温度が低く染まりにくい襟足(右下か左下)のブロックから塗り始めます。根元から1〜2cmは避け、中間〜毛先に薬剤を塗布します。
3. 後頭部→サイド→頭頂部へ
襟足が終わったら、残りの後頭部(もう片方の下のブロック)、次にサイド(上のブロック)の順で中間〜毛先に塗布します。薬剤はケチらず、たっぷり使うのがムラなく仕上げるコツです。特に髪の量が多い方は2箱準備してください。
4. 最後に「根元」と「顔周り」を塗布
全体の毛先まで塗れたら、最後に残しておいた根元の部分と、染まりやすい顔周り・前髪に薬剤を塗布します。これで時間差をつけることで、根元だけ明るくなる失敗を防げます。
5. 放置と乳化
製品の説明書に記載された時間(通常20〜30分)を守り、放置します。時間が来たら、シャワーで洗い流す前に少量のお湯を髪につけ、薬剤と髪を優しく揉み込む「乳化」を行います。これをすると色が均一になり、頭皮の薬剤も落ちやすくなります。
6. 洗い流しとケア
ぬるま湯で、カラー剤の色が出なくなるまでしっかりすすぎます。その後、付属のトリートメントや、カラーケア専用のシャンプー・トリートメントで仕上げます。詳しいヘアケア方法も参考にしてください。
髪質・ベース別のカラー選びのコツ
グレージュと一口に言っても、市販品には「アッシュグレージュ(青みが強い)」「ピンクグレージュ」「オリーブグレージュ」など様々です。今のあなたの髪色に合わせて選ぶことが、緑に濁る失敗を防ぐ鍵となります。
また、自分の肌色(パーソナルカラー)に合わせるのも重要です。黄み肌のイエベさんは温かみのあるベージュ寄り、青み肌のブルベさんは青みの強いアッシュ寄りが似合いやすい傾向があります。詳しくはパーソナルカラーの記事もどうぞ。
🔵 ベースが「黄み茶髪」の人
黄みを抑える「紫」や「青」が多めのグレージュがおすすめ。
- アッシュグレージュ系
- ラベンダーグレージュ系
- 例: シュワルツコフ got2b「スモーキーアッシュ」
🟠 ベースが「赤み・オレンジ茶髪」の人
赤みを打ち消す「緑(マット)」が多めのグレージュがおすすめ。
- オリーブグレージュ系
- マットグレージュ系
- 例: ホーユー ビューティラボ「シアーオリーブ」
2025年から2026年にかけてのトレンドも、引き続き赤みを抑えた「オリーブグレージュ」や、柔らかさのある「ピンクグレージュ」が人気です。ベースの髪色と、なりたいイメージを照らし合わせて選びましょう。
色持ちを良くする!メンテナンス方法
カラー専用シャンプーと「ぬるま湯」で色持ちが格段に変わります。 グレージュのようなアッシュ系の色は、残念ながら色落ちが早いのが宿命です。特に染めた直後の一週間は、髪のキューティクルが開きっぱなしで、色素が流れ出やすい状態です。
色落ちの最大の原因は「シャワーの熱」と「シャンプーの洗浄力」です。
⚖️ グレージュの色持ち NG vs OK
❌ NG行動 (色落ち促進)
- 40℃以上の熱いお湯で洗う
- 洗浄力の強い市販シャンプーを使う
- 染めた当日にシャンプーする
- 濡れたまま寝る(摩擦でキューティクルが開く)
✅ OK行動 (色持ちUP)
- 38℃以下のぬるま湯ですすぐ
- カラーケア専用シャンプーを使う
- 染めた後のシャンプーは24時間空ける
- すぐに乾かし、洗い流さないトリートメントで保護
色落ちが気になり始めたら、「紫シャンプー(ムラシャン)」や「シルバーシャンプー」を週に1〜2回使うのも非常に効果的です。これらは黄みを抑え、グレージュのくすみ感を長持ちさせてくれます。色落ち後のダメージケアも忘れずに行いましょう。
よくある質問(FAQ)
茶髪からグレージュにする際の、よくある疑問にお答えします。 市販品でグレージュに挑戦する際、多くの方が不安に思う点をまとめました。
Q1: 暗めの茶髪でもブリーチなしでグレージュになりますか?
A1: はい、なりますが「暗めのグレージュ」に仕上がります。ベースの茶髪が暗い(赤みが強い)ほど、市販カラー剤の力だけでは明るい透明感を出すのが難しく、グレーの色素が赤みを打ち消すために使われるため、結果的に濃いグレー(地毛に近い色)に仕上がることが多いです。
Q2: 泡カラーでグレージュに染めても大丈夫ですか?
A2: はい、手軽さの点では大丈夫です。ただし、泡カラーは全体に揉み込むため、すでに明るい毛先と暗い根元の塗り分けが難しく、色ムラのリスクは高まります。今回の記事で紹介した乳液やクリームタイプでの「4分区・時間差塗布」の方が、ムラなく仕上げる確実性は高いです。
Q3: 1箱で足りますか?髪の長さの目安は?
A3: 色ムラを防ぐ最大のコツは「薬剤をケチらない」ことです。肩(ボブ)より長い方、髪の量が多い方は、必ず2箱準備してください。薬剤が足りないと、塗布量がまばらになり、100%ムラになります。
まとめ
茶髪からグレージュへのセルフカラー成功の鍵は、ベース診断と塗り方です。 市販のカラー剤でも、グレージュにムラなく染めることは可能です。大切なのは、今のあなたの茶髪が「黄み」寄りなのか「赤み」寄りなのかを見極め、適切なカラー剤を選ぶこと。
そして、⚠️パッチテストを必ず行い、施術では「4分区」と「襟足から塗る」時間差テクニックを使うこと。この手順を守るだけで、セルフカラーの失敗は劇的に減らせます。ぜひ、透明感あふれるグレージュヘアを楽しんでください。
🎥 セルフカラーの塗布手順を動画で確認したい方は、 YouTubeチャンネルもチェックしてください!
📚 参考文献
- ホーユー株式会社公式サイト(ビューティラボ、メンズビゲン等)
- 日本ロレアル株式会社公式サイト(ロレアル パリ)
- ヘンケルジャパン株式会社公式サイト(シュワルツコフ got2b)
- 花王株式会社公式サイト(リーゼ)
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