管理美容師制度とは?資格取得方法

読了時間:約4分 | 難易度:★★☆(美容学生~現役アシスタント向け)
この記事の結論: 管理美容師は「美容師2名以上の店舗」に必須の資格。免許取得後3年の実務経験と講習で取得可能です。

将来、自分のサロンを持ちたい、あるいは店長として活躍したいと考えていますか?それなら避けては通れないのが「管理美容師」という資格です。

「名前は聞いたことあるけど、いつ取ればいいの?」「国家試験に出るの?」と疑問に思う方も多いはず。実はこの資格、国家試験の法規分野でも頻出の重要ポイントであり、実際のサロン運営でも法律上非常に重要な役割を持っています。

今回は、美容師歴20年以上で管理美容師の私が、管理美容師制度の仕組みから資格取得の具体的な流れ、そして国家試験での出題ポイントまでを徹底解説します。

管理美容師とは?設置義務と役割

管理美容師制度とは?資格取得方法

常時2名以上の美容師が働く店舗に設置が義務付けられた衛生責任者です。

管理美容師とは、簡単に言えば「お店の衛生管理の責任者」です。美容師法第12条の3に基づき、美容所(サロン)を衛生的に管理するために置かれます。

ここで最も重要なのが「設置義務」の条件です。すべての美容室に必要というわけではなく、美容師である従業者の数が「常時2人以上」である場合に、管理美容師を置かなければなりません。

POINT: 美容師が1人だけの「個人サロン」では、設置義務はありません。ただし、将来スタッフを雇って2人体制にする予定があるなら、事前に取得しておくのが賢明です。

その役割は、店舗の構造設備や消毒設備を点検し、スタッフが衛生的な作業を行っているかを監督することです。お客様に安心・安全なサービスを提供するための「衛生のプロ」としての証明とも言えます。

資格取得の2大条件:実務経験と講習会

免許取得後の実務経験3年以上と、指定講習会の修了が必要です。

管理美容師の資格は、国家試験のような筆記試験を受けて合格するものではありません。以下の2つの条件を満たすことで取得できます。

📋 資格取得の条件

条件1

実務経験3年以上 美容師名簿登録日(免許交付日)から3年以上、美容業務に従事していること。

条件2

講習会の修了 都道府県知事が指定する講習会(約3日間)を受講し、課程を修了すること。

注意が必要なのは「実務経験」のカウント開始日です。「入社日」や「国家試験合格日」ではなく、⚠️ 美容師免許証に記載されている「登録日」から3年です。免許申請が遅れると、その分カウント開始も遅れるので注意しましょう。

講習会の全貌:カリキュラムと費用

3日間で計18時間の講習を受講し、公衆衛生と衛生管理を学びます。

条件を満たした後に受講する「管理美容師資格認定講習会」の内容について解説します。これは各都道府県で年1~2回開催されています。

📊 講習会の概要(一般的な例)

項目 内容詳細
講習期間 通常3日間(合計18時間以上)
カリキュラム 公衆衛生(4時間) 美容所の衛生管理(14時間)
受講費用 約16,000円~20,000円 ※都道府県により異なる
修了要件 全日程の出席とレポート提出など

私が受講した時の経験をお話しすると、内容は座学が中心で、消毒法や感染症対策をより深く学びます。最後に簡単な確認テストやレポート提出があり、これに合格すると修了証書が授与されます。「落とすための試験」ではないので、真面目に受講していれば問題ありません。

申し込みは、公益財団法人理容師美容師試験研修センターのWEBサイトや郵送で行います。定員があるため、抽選になることも少なくありません。早めの情報収集が鍵です。

国家試験対策:ここが出る!管理美容師

「常時2人以上」「実務3年以上」の数字と定義が法規で頻出です。

現役の美容学生や国家試験受験者にとって、管理美容師は「関係法規・制度」の科目で絶対に落とせない得点源です。過去問のパターンを見てみましょう。

【第44回 関係法規・制度】

管理美容師に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

  • 1. 管理美容師は、美容師でなくてもなることができる。
  • 2. 美容師である従業者の数が常時2人以上である美容所の開設者は、管理美容師を置かなければならない。
  • 3. 管理美容師の資格取得に必要な実務経験は、1年以上である。
  • 4. 開設者が管理美容師となることはできない。
✅ 正解: 2 解説: * 誤り。美容師でなければなりません。 * 正しい。これが美容師法第12条の3の規定です。 * 誤り。実務経験は「3年以上」必要です。 * 誤り。開設者が美容師であり要件を満たしていれば、自ら管理美容師になれます。
💡 暗記のコツ: 管理美容師は「兄(2)さん(3)」で覚えよう! 2人以上のサロンで必要、実務経験は3年以上。

サロンワークでの活かし方(キャリア視点)

独立開業や店長昇格の必須条件となり、信頼性の証明になります。

「ただの資格でしょ?」と侮ってはいけません。実際にサロンで働くと、この資格の重要性に気づきます。

  • 独立開業の準備: 将来スタッフを雇ってお店を出す場合、自分が管理美容師資格を持っていないと、別に有資格者を雇う必要が出てきます。これは経営上のリスクになります。
  • 店長・マネージャー昇進: 大手サロンでは、店長やエリアマネージャーの昇格条件として、管理美容師資格の取得を定めているところが多いです。
  • 保健所の立ち入り検査: 開設届を出す際や、保健所の検査時に、管理美容師の修了証書の提示を求められます。スムーズなサロン運営に不可欠です。

よくある質問(FAQ)

受講生の疑問が多い、証明書の再発行や有効期限について回答します。

Q. 講習会の申し込みに必要な「業務従事証明書」とは何ですか?

A. 美容師として3年以上働いたことを証明する書類です。勤務先のサロンオーナー(開設者)に記入・捺印してもらう必要があります。複数のサロンで働いた期間を合算する場合は、それぞれのサロンで証明書をもらう必要があります。

Q. 管理美容師資格に有効期限や更新はありますか?

A. いいえ、一度取得すれば一生有効です。更新手続きや講習の受け直しも原則として必要ありません。修了証書は大切に保管しましょう。

Q. 修了証書を紛失してしまいました。再発行はできますか?

A. はい、可能です。講習を受けた都道府県の実施機関(主に理容師美容師試験研修センター)に問い合わせて、再交付の手続きを行ってください。

まとめ

管理美容師は3年目で目指すべき、キャリアアップの第一歩です。

管理美容師について解説してきました。

  • 設置義務: 美容師が常時2名以上いる店舗。
  • 取得条件: 免許登録後3年の実務経験 + 指定講習会の修了。
  • 国家試験: 「2人以上」「3年以上」の数値を確実に暗記。

美容師として3年経つと、技術者として忙しくなり、なかなか3日間の講習時間を確保するのが難しくなるかもしれません。しかし、将来の選択肢を広げるためにも、受講資格ができたら早めに取得計画を立てることを強くおすすめします。

🔍 最新情報の確認をお忘れなく

美容師法や衛生基準は、法改正や社会情勢により変更されることがあります。本記事の情報は投稿時点のものであり、古くなっている可能性があります。

⚠️ 受験直前や講習申し込み前には、必ず以下の公式サイトで最新の要項・出題基準・法令をご確認ください。

• 公益財団法人理容師美容師試験研修センター(講習会日程・過去問)

• 厚生労働省(美容師法・関係法令)

※本記事の情報に基づいて生じたいかなる損害についても、当サイトは責任を負いかねます。

📚 参考文献

  • 公益財団法人理容師美容師試験研修センター(管理理容師・管理美容師資格認定講習会開催案内)
  • 厚生労働省(美容師法 第12条の3)
  • 公益社団法人日本理容美容教育センター「関係法規・制度」

※本記事は美容師国家試験の学習を補助する一般情報です。健康上の問題(アレルギー、皮膚疾患等)については専門の医師に相談してください。

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#美容師国家試験 #管理美容師 #関係法規

【髪技屋さんのプロフィール】

■ 美容師歴・実績: 20年以上のベテラン美容師。🏆 全国大会入賞、📝 美容専門誌掲載の実績を持つ。

■ 活動内容: 髪の知識・技術全般の講師としても活動。プロも支持する技術で髪の悩みを解決。

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■ ブログ: 記事数 800本以上。ヘアケア、カラー調合、骨格別ヘアなど、髪のあらゆる疑問を解決。