はじめに:ミルクティーカラーと「黄み」の永遠の課題
サロンワークでオーダーの絶えないミルクティーカラーは、ブリーチ必須の代表格です。美容師歴20年以上の私から見ても、この透明感カラーの需要は高まる一方です。しかし、プロである私たちが最も苦心するのが「アンダーの黄みをいかに完璧に消すか」という点。お客様の期待値が高い分、少しでも黄みが残れば「ただの金髪っぽいベージュ」になってしまいます。この記事では、プロの視点で「黄みを完全に消す」ための薬剤選定と、明日から使える具体的な配合術を徹底解説します。
2025年トレンドとミルクティーカラーの現在地
2025年も「マイルドな透明感」を持つハイトーンベージュの人気は継続します。Webトレンドを見ても、秋冬にあえて明るさを楽しむ層が増えており、「ミルクティーベージュ」や「ヘーゼルベージュ」は定番の人気を誇っています。お客様が求めるのは、ギラついた黄色ではなく、柔らかくクリーミーな質感。このニーズに応えるためには、従来のベージュ系薬剤だけでは不十分です。アンダーの黄みを正確に打ち消す「補色」の知識と、それを実現する薬剤の選定が、他店との差別化に直結します。
なぜ黄みは消えない?プロが陥るアンダーの見極めミス
黄みが残る最大の原因は、ブリーチ後のアンダーレベルの見極め不足です。ミルクティーカラーの理想的なベースは、最低でも16レベル、できれば17レベル以上のペールイエローです。しかし、サロンワークでは「15レベル(ライトイエロー)」で妥協してしまうケースも少なくありません。
アンダーに残る色味によって、使用すべき補色は異なります。
- 15レベル (ライトイエロー): まだオレンジ味が残っているため、青(A)や青紫(BV)が必要。
- 16レベル (ペールイエロー): 純粋な黄みがメイン。紫(V)が最も効果的。
- 17レベル以上 (ベリーペールイエロー): ほぼ白に近いが、わずかな黄みを消すために、ごく少量の紫(V)が必要。
多くの場合、「黄みだから紫」と単純に考えがちですが、15レベルのベースに紫(V)だけを入れると、紫がオレンジ味を消しきれず、結果としてくすんだベージュになってしまいます。⚠️ 黄みを「完全に」消すには、まず16レベル以上の均一なリフトアップが必須条件です。
黄み消しミルクティーの施術手順とプロ用調合レシピ
完璧なミルクティーカラーは、ブリーチワークとオンカラーの連携で決まります。ここでは、16レベル以上のベースを前提とした、黄み消しに特化した薬剤選定とレシピを紹介します。
カラー施術前48時間(2日前)には、必ずパッチテスト(皮膚アレルギー試験)を実施してください。アレルギー反応が出た場合は施術を中止し、専門医の診断を受けてください。
📋 黄み消しミルクティー 施術3ステップ
ベースメイク(ブリーチ)
薬剤選定と補色調合
オンカラー塗布と乳化
STEP1: ベースメイク(ブリーチ)
黄み消しの成否は8割がブリーチで決まります。16〜17レベルの均一なペールイエローを目指します。新生部と既染部の塗り分けはもちろん、中間〜毛先の残留ティントやダメージレベルを見極め、オキシ濃度(例:根元4.5%、中間6%、毛先3%)を細かく調整します。ムラのあるベースにオンカラーしても、黄みが消える部分と残る部分に分かれてしまいます。
STEP2: 薬剤選定と補色調合
黄み消しに強い薬剤を選定します。私のサロンでは、ウエラ「コレストン パーフェクト+」のホワイトコレクションや、ミルボン「オルディーブ」のシアーラインを多用します。メインのベージュ系薬剤に対し、黄みを打ち消す「紫(V)」のコントロールカラーを5%〜10%の比率で添加するのが基本です。
使用する薬剤は、プロの技術を最大限に引き出します。気になった薬剤は画面下部の「PR⭐️Amazonで探す」からチェックしてみてください。
STEP3: オンカラー塗布と乳化
オンカラーはスピードが命です。特にブリーチ毛は薬剤の反応が早いため、オキシは3%以下(1.5%〜2%推奨)を使い、根元から毛先まで一気に塗布します。放置時間は10分〜15分を目安に、必ず目でチェックします。シャンプー台での乳化時に、あえて少量の紫シャンプーを混ぜ込む「追いムラシャン」テクニックも、黄みの再発防止に効果的です。
📊 黄み消しミルクティー 調合レシピ例
| ベース状態 (ブリーチ後) | 調合レシピ (ミディアムヘア目安) | 放置時間 | 施術時間(目安) |
|---|---|---|---|
| 16レベル (ペールイエロー) | [ウエラ] コレストン ホワイトベージュ 40g + ホワイトラベンダー 4g (10%) + OXY 2% 88g (1:2) (仕上がり: クリーミーなミルクティー) | 15分 | 約150分 (ブリーチ込) |
| 17レベル (ベリーペールイエロー) | [ミルボン] オルディーブ 11-sMA (シアーモーヴ) 40g + パープルガーネット 2g (5%) + OXY 1.5% 84g (1:2) (仕上がり: ホワイト寄りミルクティー) | 10分 | 約180分 (ブリーチ込) |
| 15レベル (黄みが強い) | [ウエラ] イルミナ 8オーシャン 30g + 8スターダスト 10g + シャドウ 5g (10%) + OXY 3% 90g (1:2) (仕上がり: 濃いめのミルクティーグレージュ) | 20分 | 約150分 (ブリーチ込) |
顧客対応のコツ:仕上がりイメージの共有
お客様が言う「ミルクティー」は、黄みがかったベージュから白に近いブロンドまで幅広いです。カウンセリングでは必ず「黄みを完全に消すためには、ベースをかなり明るく(16レベル以上)する必要があります」と伝えます。それにより、ダメージケアの重要性や、色落ちが早い(黄色っぽくなりやすい)というデメリットも同時に説明し、ホームケア(紫シャンプーの使用)の提案まで行うことが信頼に繋がります。
顧客タイプ別:黄み消しミルクティーの提案法
全てのお客様に同じミルクティーを提案するのではなく、髪質やライフスタイルに合わせた調整が重要です。
タイプ1:ブリーチ履歴あり・ハイトーン維持層
既にベースが15レベル以上ある場合が多いです。しかし、毛先のダメージによる赤みの欠如に注意が必要です。補色の紫(V)を入れすぎると、ダメージ部だけがシルバーやグレーに沈み込みます(後述の失敗例参照)。毛先はクリア剤で薄めるか、補色の比率を(例:10%→5%へ)減らす調整が求められます。
タイプ2:ブリーチ初挑戦・ダメージ懸念層
このタイプのお客様には、無理に1回で16レベルを目指すより、2回に分けたヘアカラーレシピを提案することもあります。まずは14〜15レベルのオレンジイエローまでリフトし、一度「ミルクティーグレージュ」のような濃いめの色で黄みとオレンジ味を抑えます。次回(1〜2ヶ月後)の来店時に再度ブリーチすることで、ダメージを分散させつつ理想のペールイエローに近づけます。
プロのコツとNG例:黄み消し失敗の回避法
黄み消しを狙った結果、予期せぬ色になるのがこの技術の難しさです。最も多い失敗は「黄み」ではなく「緑み」や「シルバー」が出てしまうケースです。
⚖️ 黄み消し技術 NG vs OK
❌ NG例
- 15レベルの黄みに紫(V)を投入し、くすむ
- 黄みを消そうと青(A)を入れすぎ、緑っぽくなる
- 補色を20%以上入れ、シルバーやグレーになる
✅ OK例
- 16レベルまで均一にリフトアップする
- 補色はベースの黄みに合わせ紫(V)を選ぶ
- 補色は10%以下で微調整。オキシは3%以下
⚠️ 特に注意すべきは、黄みを消したい一心で「青(A)」や「アッシュ」を多用することです。アンダーの黄(Y)と薬剤の青(A)が混ざり、結果として「緑(G)」が発色してしまいます。黄みを消すのはあくまで「紫(V)」です。
失敗時のリカバリー方法
ケース1:補色を入れすぎ「シルバー」や「グレー」に沈んだ
これは、アンダーの黄みに対して補色の紫(V)や青(A)が勝ちすぎた状態です。特にダメージ毛は赤みが失われやすいため、補色の青みがダイレクトに入りやすいです。 【リカバリー法】: 無理に脱染剤を使わず、薄いオレンジ系やピンク系のカラー(例:ピンクシャンプーや、クリアで10倍に薄めたピンク系薬剤)をごく短時間(3分程度)塗布します。補色の反対色(暖色)を入れることで、強すぎる寒色を打ち消し、ベージュ方向に戻すことができます。
ケース2:ブリーチムラで「黄みが残る部分」と「消えた部分」ができた
【リカバリー法】: 全体を均一にするのは困難です。この場合は、黄みが残っている部分(主に根元付近や中間)にのみ、紫(V)を5%加えた低トーンの薬剤(例:8レベルのナチュラルブラウン + V/5%)を塗布し、黄みが消えている毛先(シルバーっぽくなっている)には塗らないようにします。疑似的なシャドールーツのように仕上げ、ムラをデザインとして活かす方が賢明です。
よくある質問(FAQ)
サロンワークでお客様や後輩スタッフからよく受ける質問をまとめました。
- Q1. なぜミルクティーカラーはすぐに色落ちして黄色くなるのですか?
- A1. 2つの理由があります。1つは、黄みを消すために使用した補色(紫)が、ベージュの色素よりも先に流出しやすいためです。もう1つは、16レベル以上という非常に明るいベース(ほぼ金髪)に薄く色を入れているため、上の色が抜けるとすぐにアンダーの黄色が出てきてしまうからです。色落ち対策として紫シャンプーは必須です。
- Q2. 黄み消しに「ムラシャン」はどれくらい効果がありますか?
- A2. ホームケアとしては非常に効果的です。ただし、紫シャンプーは「黄みを消す」力がメインであり、「色を入れる」力は弱いです。色落ちした金髪を白っぽく見せることは得意ですが、濃いミルクティーの色を維持するものではありません。色を足したい場合は、紫シャンプーよりもベージュ系やミルクティー系のカラーシャンプー(またはトリートメント)をお勧めします。
- Q3. ベースが14レベル(オレンジイエロー)でもミルクティーは可能ですか?
- A3. 透明感のあるミルクティーは困難です。14レベルのオレンジ味を消すには、大量の青(A)やマット(G)が必要になり、結果は「くすんだアッシュブラウン」や「マットベージュ」になります。⚠️ お客様が「ミルクティー」とオーダーしても、アンダーが14レベルなら「ミルクティーグレージュ」など、くすみと深さを活かした髪の染め方を提案し、透明感のイメージ(写真)とは異なる仕上がりになることを説明するべきです。
まとめ:黄み消しを制する者が、ミルクティーカラーを制する
完璧なミルクティーカラーの配合術は、派手なテクニックではありません。「① 16レベル以上の均一なブリーチベースを作る」「② アンダーの黄みに合わせ、正確な補色(紫)を5%〜10%でコントロールする」という基本に尽きます。黄みを恐れて補色を入れすぎればシルバーになり、足りなければただの金髪になります。
この記事で紹介したウエラやミルボンの薬剤特性を理解し、アンダーの見極めを徹底することで、お客様が求める「黄みのないクリアなミルクティーカラー」は必ず実現できます。あなたのサロンワークの精度を上げる一助となれば幸いです。
📚 参考文献
- ウエラ プロフェッショナルズ 公式サイト (コレストン パーフェクト+ 製品情報)
- ミルボン公式サイト (オルディーブ 製品情報)
- 日本ヘアカラー協会(JHCA)技術ガイドライン
※本記事はプロの美容師向けの技術情報であり、セルフカラーを推奨するものではありません。アレルギーや症状が気になる場合は医師に相談してください。
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