はじめに:20代メンズとオレンジブラウンの親和性
20代イエベ肌メンズの魅力を引き出す鍵は「ヘルシーな暖色」です。美容師歴20年以上の「髪技屋さん」です。最近のメンズカラー市場では、単なるハイトーンではなく、肌色を健康的に見せる「血色感カラー」が求められています。特に20代のイエローベース(イエベ)肌のお客様にとって、オレンジブラウンは肌なじみが抜群で、黒髪からでも活発で垢抜けた印象を演出しやすい最適解の一つです。しかし、オレンジは一歩間違えると派手すぎたり、赤みが強く出すぎたりと調合が難しい色でもあります。この記事では、ウエラのイルミナカラーを使い、黒髪からでも透明感のある上品な「ヘルシー・オレンジブラウン」に仕上げるプロの技術と調合レシピを徹底解説します。
2025年メンズカラーの潮流と「オレンジブラウン」の位置づけ
2025年メンズトレンドは「透明感グレージュ」と「個性派暖色」の二極化です。主流は依然としてアッシュやグレージュ系の透明感カラーですが、一方で韓国アイドルの影響などから、個性を表現する暖色系カラーも確実な支持を得ています。特にオレンジ系は、イエベ肌が多い日本人男性にとって、肌のトーンを明るく見せ、エネルギッシュな印象を与える強力な武器となります。私のサロンでも、20代のメンズ顧客から「派手すぎない暖色にしたい」「イエベに似合う色を」というオーダーが増加傾向にあり、イルミナカラーの透明感を活かしたオレンジブラウンは、まさにそのニーズに応えるトレンドカラーと言えます。
なぜイルミナカラーで「オレンジブラウン」なのか?
イルミナカラーは、オレンジ特有のギラつきを抑え透明感ある質感に仕上げます。一般的なオレンジ系カラー剤は、彩度が高い反面、染料が強く出すぎて透明感が失われがちです。しかし、イルミナカラーの最大の強みである「マイクロライトテクノロジー」は、髪表面の金属イオン(銅)との過剰反応を抑え、光の反射を妨げません。これにより、オレンジブラウンのような暖色でも、光に透けるような柔らかさとツヤ感を実現できます。黒髪から施術する場合、アンダーの赤みやオレンジみを完全に消すのではなく、むしろそれを活かしながら、イルミナカラーの「コーラル」と「サファリ」を調合することで、ギラつきのないヘルシーな仕上がりが可能になります。
イルミナカラーに「オレンジ」はない?鍵は「コーラル+サファリ」
ご存知の通り、イルミナカラーのラインナップに「オレンジ」という単色のシェードは存在しません。しかし、プロの技術は「色を混ぜて創る」ことにあります。ここで主役となるのが以下の2色です。
- コーラル (CORAL): 珊瑚のような温かみのあるピンクコーラル。オレンジ味を出すための核となります。
- サファリ (SAFARI): シアーベージュ。コーラルの鮮やかさをマイルドにし、ブラウンの柔らかさと透明感を加えます。
この2色をミックスすることで、単なるオレンジではない、深みと透明感を両立した「オレンジブラウン」が完成します。さらに、黒髪からのリフトアップには、イルミナカラー専用のライトナー「サンライト」を使用するのが最適です。
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【実践】黒髪から創るイルミナ「ヘルシー・オレンジブラウン」施術手順と調合レシピ
成功の鍵は「サンライト」による均一なリフトアップと正確なオンカラー調合です。ここでは、黒髪(4〜5レベル)の20代メンズを想定し、ダメージを抑えつつ透明感のある10レベル程度のオレンジブラウンに仕上げる「ダブルカラー」の手順を紹介します。ブリーチ剤を使わず、イルミナのサンライト(ライトナー)でリフトするのがポイントです。
ヘアカラー施術は、アレルギー反応(ジアミンアレルギー等)のリスクを伴います。必ず施術48時間前にお客様にパッチテスト(皮膚アレルギー試験)を行ってください。異常が確認された場合は、施術を絶対に行わないでください。
📋 イルミナ・オレンジブラウン ダブルカラー施術手順
【リフトアップ】サンライト+6%オキシで黒髪を12〜14レベルまでリフト
中間シャンプー&ベースチェック(ムラ補正)
【オンカラー】「コーラル+サファリ」でオレンジブラウンを塗布
STEP1: リフトアップ(サンライト使用)
黒髪から透明感のあるオレンジブラウンを発色させるには、まずベースを明るくする必要があります。ここではブリーチ剤の代わりに、イルミナカラーのライトナー「サンライト」を使用します。ブリーチに比べ、ダメージを抑えながらクリアなリフトアップが可能です。
- 調合: イルミナカラー サンライト + イルミナ クリームディベロッパー 6%
- 混合比率: 1:2 (サンライト 40gに対し、6%オキシ 80gなど)
- 塗布: 根元を1.5cmほど空けて(新生部空け)、毛先までスピーディに塗布します。メンズのショートヘアは体温で根元が上がりやすいため、時間差塗布が鉄則です。
- 放置: 塗布後、ラップをして自然放置で30分~50分。14レベル程度(薄いオレンジ~イエロー)になるまでリフトさせます。アンダーを見極め、リフトが甘い場合は放置時間を延長します。
STEP2: 中間シャンプーとベースチェック
希望の明度に達したら、サンライトを一度完全にシャンプーで洗い流します。この時、アルカリや残留薬剤をしっかり除去することが、次のオンカラーの発色を安定させるために重要です。シャンプー後、タオルドライし、ベースのムラがないか、特にネープや耳周りのリフトが均一かを確認します。
STEP3: オンカラー(調合レシピ)
ベースが整ったら、いよいよオレンジブラウンをオンカラーします。イエベ肌に合う「ヘルシーさ」と「透明感」を両立させるための調合です。
メンズショート(髪量普通)の場合、1剤の総量は約40g〜50gを目安にします。
📊 イルミナ・オレンジブラウン 調合レシピ
| ベース状態 | 調合レシピ (1剤 : 2剤) | 放置時間 | 施術時間(目安) |
|---|---|---|---|
| 【基本】ヘルシー・オレンジブラウン (サンライトで14レベルまでリフト後) | 1剤 (計40g): ・イルミナ コーラル10 (30g) ・イルミナ サファリ10 (10g) 2剤 (計80g): ・イルミナ クリームディベロッパー 3% (80g) [比率 1:2] (仕上がり目安: 10レベル) | 15~20分 | 約150分 (リフトアップ込) |
| 【応用】深みのあるオレンジブラウン (サンライトで12レベルまでリフト後) | 1剤 (計40g): ・イルミナ コーラル8 (20g) ・イルミナ サファリ8 (20g) 2剤 (計80g): ・イルミナ クリームディベロッパー 3% (80g) [比率 1:2] (仕上がり目安: 8レベル) | 20分 | 約140分 (リフトアップ込) |
| 【補正】透明感を強める (ベースの黄みが強い場合) | 1剤 (計40g): ・イルミナ コーラル10 (25g) ・イルミナ サファリ10 (10g) ・イルミナ オーキッド10 (5g) ※補色 2剤 (計80g): ・イルミナ クリームディベロッパー 3% (80g) [比率 1:2] (仕上がり目安: 10レベル) | 15分 | 約150分 (リフトアップ込) |
- 塗布と放置: オンカラーはスピードが命です。特にイルミナカラーは発色が早いため、根元から毛先までワンタッチで素早く塗布します。オキシは3%を使用し、ダメージを最小限に抑えつつ色素を浸透させます。
- 乳化とチェック: 放置時間が近づいたら、少量のお湯で乳化させながら色味をチェックします。イルミナカラーは乳化によってツヤと均一性が増します。希望のオレンジブラウンになったら、シャンプー・トリートメントで仕上げます。
顧客対応のコツ:イエベ肌への提案トーク
20代イエベ肌のお客様には、自信を持ってオレンジブラウンを提案しましょう。
「イエベ肌の方は、オレンジやコーラルのような暖色系が肌の血色を良く見せてくれるので、とてもお似合いになります。今回ご提案するイルミナカラーのオレンジブラウンは、派手なオレンジではなく、ベージュ(サファリ)を混ぜて柔らかさを出すので、初めての暖色でも挑戦しやすいですよ。黒髪からサンライトで明るくすることで、透明感も出て活発な印象になります。」
このように、「似合う根拠(イエベ肌)」と「薬剤の特徴(派手すぎない)」を伝えることで、お客様の不安を取り除き、安心して施術を受けていただけます。
20代メンズに似合うオレンジブラウンのスタイル診断
オレンジブラウンは、ヘアスタイルによって「活発さ」も「色気」も演出できます。同じオレンジブラウンでも、ヘアスタイルとの組み合わせで印象は大きく変わります。20代メンズに提案する際の参考にしてください。
スタイル1:王道マッシュ × オレンジブラウン
20代メンズの定番であるマッシュスタイル。重めのシルエットにオレンジブラウンを合わせることで、髪のツヤと柔らかさが際立ちます。重く見えがちなマッシュヘアに軽さと動きが加わり、韓国アイドルのような洗練された印象を与えます。イエベ春タイプの方に特におすすめです。
スタイル2:センターパート × オレンジブラウン
大人っぽさと色気を両立するセンターパート。イルミナカラーの透明感あるオレンジブラウンが、顔周りをパッと明るくし、健康的な色気を引き出します。ビジネスシーンでも許容されやすい、やや暗め(8〜9レベル)のオレンジブラウン(コーラル8+サファリ8)で仕上げるのが、イエベ秋タイプの方にも似合うコツです。
スタイル3:束感ショート × オレンジブラウン
最も「活発な印象」を与える組み合わせです。アクティブな束感スタイルにオレンジブラウンが乗ることで、エネルギッシュで親しみやすいキャラクターを演出できます。スタイリング剤でツヤを出すと、イルミナカラーの光沢がさらに引き立ちます。ブリーチなしで施術可能な、黒髪からのワンメイク(サンライト不使用)で、地毛を活かした6〜7レベルの「ダークオレンジブラウン」にするのも一つの手です。
プロのコツとNG例:オレンジブラウン施術の注意点
オレンジブラウンの失敗は「コーラルの比率」と「ベースのリフト不足」が原因です。暖色系はシンプルに見えて、アンダーコントロールがシビアな技術です。よくある失敗例と対策を把握しておきましょう。
⚖️ オレンジブラウン施術 NG vs OK
❌ NG例
- リフト不足(10レベル以下)でオンカラーし、濁った赤茶色になった。
- コーラルを多く入れすぎて、オレンジを通り越しピンクや赤になった。
- 根元のリフトが早すぎ、根元だけ鮮やかなオレンジになる(根元カッパー)。
✅ OK例
- サンライトで14レベルまで均一にリフトアップし、透明感の土台を作った。
- コーラル3:サファリ1の比率を守り、オレンジブラウンに着地させた。
- サンライト塗布時に根元を1.5cm空け、均一なベースを作った。
⚠️ 特に注意すべきは、イルミナカラー「コーラル」の特性です。コーラルはピンク系の染料が強いため、比率を誤ると(例:コーラル100%で使用)、アンダーのオレンジと合わさって「オレンジ」ではなく「ビビッドなピンクレッド」に傾く危険があります。必ず「サファリ」や「クリスタル」で彩度をコントロールしてください。
8-1. 失敗時のリカバリー方法
万が一、暖色系の施術で失敗した場合の対処法です。適切なダメージケアを前提に行います。
ケース1:オレンジや赤みが強く出すぎた(ピンクに寄った)
コーラルの比率が多すぎたか、アンダーの赤みが想定より強かったケースです。この場合、補色(緑=イルミナの「フォレスト」)を使いたくなりますが、強く入れると濁りの原因になります。まずは、イルミナの「クリスタル」と「サファリ」を1:1で混ぜ、3%オキシで塗布し、5〜10分程度で流す「色味薄め」の技術を試します。それでも赤みが強い場合は、次回施術時に「フォレスト」を5%〜10%添加することを提案します。
ケース2:根元だけ明るく、毛先が沈んだ(色ムラ)
オンカラー時の薬剤選定ミスです。根元(新生部)と毛先(既染部)の薬剤を分けるべきでした。リカバリーとしては、暗く沈んだ毛先部分にのみ、イルミナの「サンライト」+「クリスタル」+3%オキシを1:1:2で混合した薬剤を塗布し、慎重にリフトアップ(脱染)して根元のトーンに合わせます。非常に高度な技術とスピードが求められます。
イルミナカラー「オレンジブラウン」よくある質問(FAQ)
黒髪からの施術や色落ちに関する質問は、カウンセリングで必ず押さえましょう。お客様からよく寄せられる質問と、プロとしての回答例をまとめました。
- Q1. 黒髪からでもブリーチなしでオレンジブラウンにできますか?
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A. 可能です。ただし、仕上がりの明るさによります。7〜8レベル程度の「暗めのオレンジブラウン」であれば、イルミナカラーの「コーラル8+サファリ8」に6%オキシを使ったワンメイクで表現できます。しかし、記事で紹介したような10レベル以上の「透明感のあるヘルシーなオレンジブラウン」をご希望の場合は、イルミナのライトナー「サンライト」を使ったダブルカラー(ライトニングオンカラー)が必須となります。
- Q2. イルミナカラーのオレンジブラウンの色落ちはどうなりますか?
-
A. イルミナカラーは色落ちの過程もキレイなのが特徴です。サンライトでベースを明るくした場合、オレンジブラウンから柔らかい「ミルクティーベージュ」や「ウォームベージュ」のように褪色していきます。ブリーチありの暖色系は褪色が早い傾向にあるため(約1〜2週間)、色持ちを良くするために、オレンジ系やピンク系のカラーシャンプーを併用していただくようアドバイスしています。
- Q3. イエベ肌ですが、オレンジが似合うか不安です。顔がくすんだりしませんか?
-
A. ご安心ください。イエベ肌(イエローベース)の方は、オレンジやコーラルといった黄み・赤みを含む暖色系が最も得意なパーソナルカラーです。肌の黄みを打ち消すのではなく、むしろ馴染ませることで、顔色をパッと明るく健康的に見せる効果があります。イルミナカラーで透明感を加えることで、くすむどころかツヤのある活発な印象になります。
- Q4. イルミナカラーに「オレンジ」という色はありますか?
-
A. イルミナカラーのラインナップに「オレンジ」という名前の単色はありません。プロのヘアカラーレシピとして、ピンク系の「コーラル」とベージュ系の「サファリ」をミックスすることで、透明感のある「オレンジブラウン」を創り出しています。これがサロン技術の専門性です。
まとめ:イルミナで創るオレンジブラウンは20代イエベ・メンズの武器になる
20代イエベ肌のメンズ顧客に「ヘルシーで活発な印象」を提案する際、ウエラ イルミナカラーで創るオレンジブラウンは非常に有効な選択肢です。黒髪からでも「サンライト」でダメージを抑えてリフトし、「コーラル+サファリ」の調合で透明感と柔らかさを両立させることができます。単なる流行色としてではなく、お客様のパーソナルカラー(イエベ肌)を最大限に活かす技術として、このオレンジブラウンの調合レシピをぜひ明日からのサロンワークにご活用ください。
🎥 動画でイルミナカラー施術手順を(YouTube)でチェック
📚 参考文献
- ウエラ プロフェッショナル 公式サイト(イルミナカラー製品情報)
- 日本ヘアカラー協会(JAPAN HAIR COLOR ASSOCIATION)技術ガイドライン
- 美容業界メディア(HOT PEPPER Beauty Magazine等) 2024-2025年トレンドレポート
※本記事はプロ美容師向けの技術情報であり、セルフカラーを推奨するものではありません。アレルギーや症状が気になる場合は医師に相談してください。
この記事が役立ったら、美容師仲間とシェアして技術を高め合いましょう!
