はじめに:ラベンダー系カラーとブルベ診断の重要性
ラベンダー系カラーは、顧客の肌の透明感を劇的に引き出す鍵となります。美容師歴20年以上の「髪技屋さん」です。サロンワークにおいて、透明感カラーのオーダー、特にラベンダー系は年々増加しています。しかし、ラベンダーは「黄ばみを消す補色」という側面と「色味として見せる」という側面の二面性を持ち、調合が非常にデリケートです。特にパーソナルカラーがブルーベース(ブルベ)のお客様との関連性を理解していないと、せっかくの提案が「顔色が悪く見える」といったクレームにも繋がりかねません。この記事では、ラベンダー系の色彩理論とブルベ診断の関連性を深掘りし、明日から使える具体的な調合レシピまで解説します。
2025年ラベンダー系カラーのトレンドと色彩理論
2025年は「シアーラベンダー」や「ピンクラベンダー」がトレンドです。これまでのラベンダーアッシュやグレージュに加え、より柔らかさや微かな暖色を感じさせるラベンダーが注目されています。これは、単に黄ばみを消す(補色)ためだけでなく、ラベンダー自体を主役の色として楽しみたいという顧客ニーズの表れです。私のサロンでも、ブリーチ前提のダブルカラーで「ほんのりピンクみのあるラベンダー」を希望される方が増えています。
色彩理論の観点から見ると、ラベンダー(紫)は黄色の補色です。日本人の髪はブリーチすると必ず黄色のアンダートーンが出ます。この黄ばみを打ち消し、無彩色(グレー)に近づけるために紫は不可欠です。2025年のトレンドでは、この補色としての役割(打ち消し)と、色味としての役割(発色)の両方を高レベルでバランスさせる技術が求められています。
ブルベ肌(ブルーベース)とラベンダーカラーの相関性
ブルベ肌の透明感をラベンダーの青みが最大限に引き出します。ラベンダーカラーが特にブルベ(ブルベ夏・ブルベ冬)の方に推奨されるのは、明確な理由があります。ブルベ肌は元々、青みやピンクみを帯びた肌トーンを持っており、同じ青みを含むラベンダー系カラーと非常に調和しやすいのです。
なぜブルベにラベンダーが似合うのか?
理由は、肌のトーンと髪色のトーンが「リンク」するからです。ブルベ肌の方がラベンダー系カラーにすると、髪の青みが肌の青みと共鳴し、肌のくすみを飛ばして一層の透明感と明るさをもたらします。逆に、黄みの強いオレンジブラウンなどにすると、肌の青みと反発し、肌がくすんで見えやすくなります。ラベンダーは、ブルベ肌が持つ「涼しげ」「上品」といった印象を最も強化できる色の一つと言えます。
ブルベ夏 vs ブルベ冬 似合うラベンダーの違い
同じブルベでも、「夏」と「冬」では似合うラベンダーのトーンが異なります。この違いを理解することが、プロとしての提案の鍵です。
- ブルベ夏 (Summer): 特徴: 柔らかく、ややくすみのある(ソフトな)トーンが得意。 似合うラベンダー: ラベンダーアッシュ、ラベンダーグレージュ、シアーラベンダーなど、スモーキーで柔らかい色合い。ビビッドすぎる紫は浮きやすいので注意が必要です。
- ブルベ冬 (Winter): 特徴: 鮮やかで、クリアな(澄んだ)トーンや、暗くはっきりした色が得意。 似合うラベンダー: カシスのような濃いラベンダー、クリアなバイオレット、青みの強いブルーラベンダー。くすみが強すぎると逆に顔色が悪く見えることがあります。
⚠️ブルベでも「似合わない」ケースとは?
「ブルベと診断されたのにラベンダーが似合わなかった」というお客様もいます。これは、⚠️ラベンダーの「色味・彩度・明度」が、そのお客様の得意な領域から外れていた可能性が高いです。例えば、ソフトな色が似合うブルベ夏の方に、鮮やかすぎるバイオレットを施術した場合などです。また、ラベンダーの赤みと青みのバランスも重要です。赤みが強すぎるとブルベ肌の赤みを拾いすぎ、青みが強すぎると顔色が悪く見えます。パーソナルカラー診断は絶対ではなく、あくまで「傾向」として捉え、目の前のお客様の肌質や雰囲気、好みに合わせて微調整するスキルが美容師には求められます。
施術手順とラベンダー系調合レシピ
正確なアンダー診断と薬剤選定がラベンダー成功の鍵です。ラベンダー系カラーは、アンダーレベル(ベースの明るさ)と残留ティント(残っている色味)に大きく左右されます。特にブリーチ後の黄ばみのレベルを見誤ると、仕上がりが緑に寄ったり、ただのグレーになったりします。
ヘアカラー施術は、アレルギー(ジアミン等)のリスクを伴います。施術48時間前に必ずパッチテスト(皮膚アレルギー試験)を実施してください。異常がみられた場合は施術を中止し、専門医の診断を受けてください。
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📋 ラベンダーカラー施術手順
診断 (アンダーレベルとブルベタイプの確認)
調合 (薬剤選定、補色・オキシ濃度決定)
塗布と乳化 (放置時間厳守、色味の定着)
STEP1: 診断(パーソナルカラーとアンダーレベル)
まず、お客様のパーソナルカラーを簡易診断します(ブルベ夏/冬、イエベ春/秋)。「普段、シルバーとゴールドどちらのアクセサリーをよく使いますか?」といった質問が有効です。同時に、現在の髪のアンダーレベルを正確に診断します。ラベンダーを綺麗に発色させるには、最低でも16レベル、できれば18レベル以上のブリーチベース(ペールイエロー)が理想です。
STEP2: 調合(ベース剤と補色の選定)
診断結果に基づき薬剤を選定します。ブルベ夏にはアッシュやグレーがミックスされたラベンダー、ブルベ冬にはクリアなバイオレットやピンク系のラベンダーが適しています。アンダーの黄ばみが強い場合は、ベースのラベンダー剤にバイオレット系の補色を5%〜10%加えます。オキシは3%や1.5%など低濃度を使用し、ブリーチ毛へのダメージと急激な沈み込みを防ぎます。
STEP3: 塗布と放置時間
ブリーチ後の髪は薬剤の浸透が早いため、スピーディーな塗布が求められます。特に毛先は沈み込みやすいため、根元〜中間を塗布後、時間差で毛先に塗布するか、毛先はクリア剤で薄めるなどの調整が必要です。放置時間は10分〜15分を目安に、こまめに発色をチェックします。シャンプー台での乳化で色味を均一になじませることも重要です。
📊 ブルベタイプ別 ラベンダー調合レシピ例
| 対象(ブルベタイプ) | ベース状態 | 調合レシピ (ミディアム目安) | 放置時間 | 施術時間(目安) |
|---|---|---|---|---|
| ブルベ夏 (ソフト・くすみ) | 17レベル (ブリーチ1回) | イルミナカラー トワイライト(8):スターダスト(8) = 1:1 + OXY 3% (1:2) 全体60g (仕上がり: 柔らかいラベンダーグレージュ) | 15分 | 約150分 (ブリーチ含) |
| ブルベ冬 (クリア・鮮やか) | 18レベル (ブリーチ2回) | オルディーブ アディクシー パープルガーネット(9):クリア = 3:1 + OXY 3% (1:2) 全体50g (仕上がり: クリアなバイオレットラベンダー) | 10分 | 約180分 (ブリーチ含) |
| ブリーチなし (ブルベ全般) | 8レベル (既存カラー毛) | オルディーブ アディクシー ラベンダーパール(7):グレーパール(7) = 2:1 + OXY 6% (1:1) 全体80g (仕上がり: ほんのりラベンダー味のブラウン) | 20分 | 約90分 |
顧客カウンセリングのコツ:ブルベ診断の活かし方
診断結果を押し付けず、顧客の「好み」と「似合う」の着地点を探ります。パーソナルカラー診断は強力なツールですが、それでお客様を縛り付けてはいけません。20年の経験上、最も重要なのはお客様が「なりたいイメージ」です。
「ブルベ夏ですね」で終わらない提案術
「お客様はブルベ夏タイプなので、柔らかいラベンダーアッシュが肌の透明感を引き立ててくれますよ」と、「似合う理由」と「得られる効果」をセットで伝えます。さらに、「もし、もう少しピンクみが欲しい場合は、トワイライトを少し混ぜてピンクラベンダーに寄せると、トレンド感も出て可愛いですよ」と、好みに寄り添う選択肢を提示します。
イエベのお客様にラベンダーを提案する方法
イエベ(イエローベース)のお客様から「ラベンダーにしたい」とオーダーがあった場合、青みの強いラベンダーをそのまま使うと肌がくすむ可能性があります。この場合は、イルミナカラーの「ブロッサム(ピンク)」や「サンライト(ベージュ)」をミックスし、「ピンクラベンダー」や「ラベンダーベージュ」として提案します。黄みを消す効果は残しつつ、肌なじみの良い暖かみをプラスすることで、イエベの方にも似合うラベンダーを提供できます。
プロのコツとNG例|失敗リカバリー術
ラベンダーは補色のバランスとオキシ濃度が沈み込みを防ぐポイントです。ラベンダー系カラーの失敗で最も多いのは、「毛先が沈みすぎた(暗く濃く入りすぎた)」、または「黄ばみが消えずに緑っぽくなった(補色負けした)」の2パターンです。
⚖️ ラベンダーカラー NG vs OK
❌ NG例
- ダメージ毛に6%オキシで塗布し、毛先が沈む
- 黄ばみが強いのに青系アッシュを使い緑に
- 補色(紫)を入れすぎて根元だけ紫になる
- ブルベ冬に「くすみ系」を使い顔色が悪化
✅ OK例
- 毛先は1.5%や3%の低濃度オキシを使用
- 黄ばみにはアッシュ(青)ではなくバイオレット(紫)
- 補色は全体量の10%以内で微調整
- ブルベ冬にはクリア剤を混ぜて透明感を出す
失敗時のリカバリー方法
万が一失敗してしまった場合も、冷静な対処がプロの腕の見せ所です。適切なダメージケアを前提に対応します。
- 沈み込みすぎた場合: 酸性の脱染剤(ライトナー)を低オキシ(1.5%~3%)で希釈し、沈んだ部分に素早く塗布します。5分ほどで色味が浮いてくるので、即座に流します。アルカリのブリーチ剤を使うと、さらにダメージが進行し、色が抜けすぎるため避けるべきです。
- 黄ばみが消えなかった場合: アンダーの黄ばみに対して、紫の補色が足りなかったケースです。シャンプー台で、バイオレット系のカラー剤(例:オルディーブ アディクシー パープルガーネット)をクリア剤と1:5程度で薄めたものを塗布し、3~5分程度「色水を通す」イメージで馴染ませると、黄ばみが落ち着きます。
- 緑っぽくなった(ムラ): 黄ばんだベースに青みの強いアッシュを乗せると発生します。この場合は、緑の補色である「赤」や「ピンク」(例:イルミナ ブロッサム)を少量クリア剤で薄め、上から被せることで緑みを相殺し、ブラウンやグレージュに補正できます。
よくある質問(FAQ)
ラベンダー系カラーに関するお客様と美容師の疑問を解決します。私のサロンでもよく受ける質問をまとめました。お客様へのカウンセリングトークにもご活用ください。
- Q1: ラベンダーの色落ちはどうなりますか?(黄ばみが出にくい?)
- A: はい、ラベンダー(紫)は黄色の補色なので、色落ちの過程で黄ばみが出てくるのを抑え、白っぽいベージュやミルクティー色に褪色していくのが最大のメリットです。ブリーチありの場合、色持ちは約1~2週間ですが、その後の色落ち過程も綺麗に楽しめます。紫シャンプー(ムラシャン)でのホームケアを推奨すると、色持ちが格段に良くなります。
- Q2: ブリーチなしでもラベンダーは入りますか?
- A: 可能です。ただし、仕上がりは「クリアなラベンダー」ではなく、「ほんのり紫がかった深みのあるブラウン」や「ラベンダーグレージュ」のようになります。元の髪が8レベル以上あれば、赤みを抑えつつ透明感を出す効果が期待できます。ブリーチなしの場合は、6%オキシでリフト力を高めつつ、ラベンダーの色素を濃いめに入れる調合(例:オルディーブ 7-Lavender Pearl 単品)がおすすめです。
- Q3: ブルベなのにラベンダーが似合わないのはなぜですか?
- A: 「ブルベだからラベンダーが似合う」は、イコール「どんなラベンダーでも似合う」ではありません。似合わないと感じる主な原因は「彩度」「明度」「くすみ感」のミスマッチです。例えば、クリアな色が得意な「ブルベ冬」の方が、くすみの強い「ラベンダーアッシュ」にすると顔色が悪く見えることがあります。逆に「ブルベ夏」の方が鮮やかすぎるバイオレットにすると、髪色だけが浮いて見えます。お客様の肌質や雰囲気に合わせて「似合うラベンダー」を提案するのがプロの役割です。
まとめ:色彩理論と診断でラベンダーを極める
ラベンダー系カラーは、ブルベ肌の魅力を最大限に引き出す強力な武器です。2025年のトレンドである「ピンクラベンダー」や「シアーラベンダー」は、単なる補色としての紫ではなく、デザインとしての紫を求めるお客様のニーズに応えるものです。
重要なのは、色彩理論(補色関係)を深く理解し、イルミナカラーやオルディーブ アディクシーといったプロ用薬剤の特性を掴むこと。そして、パーソナルカラー(ブルベ/イエベ)診断をカウンセリングに組み込み、お客様一人ひとりに最適な「似合うラベンダー」を提案する技術です。この記事で紹介したヘアカラーレシピやリカバリー術を参考に、ぜひサロンワークでのラベンダー系カラーの精度を高めてください。
📚 参考文献
- ウエラ プロフェッショナル 公式サイト (イルミナカラー)
- ミルボン公式サイト (オルディーブ アディクシー)
- 日本ヘアカラー協会(JHCA)技術ガイドライン
- パーソナルカラー色彩理論(一般社団法人日本パーソナルカラー協会)
※本記事はプロの美容師向けの技術情報であり、セルフカラーを推奨するものではありません。アレルギーや症状が気になる場合は医師に相談してください。
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