はじめに:グリースとジェル、選ぶ基準は「カチッと感」と「リセット力」です
💡 グリースとジェルの違いを知れば、ヘアセットの失敗は激減します。- カチッと終日キープしたいなら「ジェル」
- ツヤ感と手直し(リセット力)が欲しいなら「グリース」
こんにちは!美容師歴20年以上の「髪技屋さん」です。サロンワークでお客様から「グリースとジェル、結局どっちがいいんですか?」という質問を本当によく頂きます。
どちらも「ツヤ感」が出るスタイリング剤ですが、その特性は全くの別物。「なんとなく選んだら、思ったスタイルにならなかった…」という経験はありませんか?例えば、ジェルで手直ししようとしたら白い粉が出てしまったり、逆にグリースだと夕方にはスタイルが崩れてしまったり。
私の20年間のサロン経験から言えることは、この2つを使いこなせればメンズヘアセットのレベルは格段に上がるということです。
この記事では、「グリース vs ジェル」の長年の疑問に終止符を打ちます。それぞれの最大の特徴である「カチッと感」と「リセット力」を軸に、ビジネスからカジュアルまで、失敗しない選び方と簡単なセット方法を徹底的に解説します。
グリース vs ジェル 徹底比較表|一目でわかる特性の違い
💡 2つの最大の違いは「固まるか(カチッと感)」と「直せるか(リセット力)」です。まず、グリースとジェルがスタイリング剤の中でどのような位置づけにあるのか、ワックスも交えて比較してみましょう。特にグリースとジェルの違いに注目してください。
🎯 スタイリング剤 特性比較
| 比較項目 | ジェル | グリース | ワックス |
|---|---|---|---|
| 固定力 (カチッと感) | ◎ (最強) | △ (固まらない) | ◯ (種類による) |
| ツヤ感 (ウェット感) | ◎ (濡れツヤ) | ◎ (油性ツヤ) | △ (マット〜ツヤ) |
| リセット力 (再整髪) | ✕ (不可) | ◎ (可能) | ◯ (可能) |
| 乾く速さ | ◎ (速い) | △ (遅い・固まらない) | △ (固まらない) |
| 落としやすさ | ◎ (水溶性) | ◯ (水性が多い) | △ (油分が多い) |
| おすすめスタイル | ツーブロック, パーマ, オールバック | センターパート, パーマ, クラシカル | マッシュ, 束感ショート |
この表の通り、ジェルは「固定力(カチッと感)」に全振りし「リセット力」を捨てています。一方、グリースは「リセット力」と「ツヤ感」を両立させていますが、固定力はジェルに劣ります。これが最大の違いです。
「グリース」とは? 最大の特徴「リセット力」を深掘り
💡 グリースは「固めずに、ツヤとまとまりを出す」スタイリング剤です。グリースは、別名「水性ポマード」とも呼ばれることが多いです。昔ながらの油性ポマードの「強いツヤ」と「再整髪力」はそのままに、弱点だった「落としにくさ」を水溶性にすることで劇的に改善したアイテムです。
私のサロンでも、2025年のトレンドであるツヤ感のあるセンターパートや、動きのあるパーマスタイルに多用しています。
グリースのメリット
- 圧倒的なツヤ感(ウェット感) ジェルの「パリッとした濡れ感」とは異なり、グリースは「しっとりとした油性のツヤ」が出ます。これが色気や大人っぽさを演出します。
- 高い「リセット力」(再整髪力) これが最大の強みです。グリースは時間が経っても固まりません。そのため、風でスタイルが崩れても、手ぐしやコームで何度でも手直し(リセット)が可能です。
- 髪なじみの良さと操作性 粘度が高く、髪にピタッと密着します。毛流れを作ったり、髪を寝かせたりする操作が非常にやりやすいです。
グリースのデメリット
最大のメリットである「固まらない」ことは、そのままデメリットにもなります。
⚠️ ジェルのような強力な固定力(カチッと感)はありません。髪をガチガチに立てたり、一日中完璧にキープしたりするのには不向きです。セット力はありますが、あくまで「まとめる力」であり「固める力」ではないと理解しましょう。
「ジェル」とは? 最大の特徴「カチッと感」を深掘り
💡 ジェルは「水分で濡らし、蒸発させて固める」スタイリング剤です。ジェルは、水分を多く含んだゼリー状のスタイリング剤です。髪につけると、その水分が蒸発する過程で強力な皮膜を形成し、髪の毛同士を接着して「カチッ」と固めます。
この速乾性と強力な固定力は、他のスタイリング剤にはない最大の特徴です。ビジネスシーンでのツーブロックや、フォーマルな場面でのオールバックなど、絶対に崩したくないスタイルに最適です。
ジェルのメリット
- 最強クラスの固定力(カチッと感) 一度固まれば、風が吹いても汗をかいてもスタイルが崩れません。朝作ったスタイルを夜まで完璧にキープできます。
- 速乾性 塗布してから数分で固まり始めるため、セット時間が非常に短くて済みます。忙しい朝の「時短セット」に最適です。
- パリッとした濡れツヤ感 グリースの油性ツヤとは異なり、ジェルは「濡れたまま固まった」ような、みずみずしいツヤが出ます。
ジェルのデメリット
ジェルの弱点は、その強力な固定力の裏返しです。
⚠️ 一度固まると手直しは一切できません。無理に触ると、固まったジェルが剥がれて「白い粉(フレーキング)」が出てしまいます。セットに失敗したら、洗い流すしかリセットする方法はありません。まさに「一発勝負」のスタイリング剤です。
【シーン・髪型別】グリースとジェルの賢い使い分け
💡 「カチッと感」が必要な場面か、「リセット力」が必要な場面かで見極めます。グリースとジェルの特性がわかったところで、具体的に「いつ、どっちを使えばいいのか」を、2025年のトレンドヘアスタイルも交えて解説します。
🎯 シーン別 グリース vs ジェル 使い分けマップ
| シーン | おすすめスタイル | 推奨スタイリング剤 | 重視するポイント |
|---|---|---|---|
| ビジネス | ツーブロック (七三分け) | ジェル | 清潔感, キープ力 |
| カジュアル (デート) | センターパート, パーマ | グリース | ツヤ感, リセット力 |
| フォーマル (結婚式) | オールバック, タイトヘア | ジェル (or ハードグリース) | 絶対的なキープ力 |
h3: ビジネスシーン(清潔感重視) → ジェルが優勢
ビジネスシーンで求められるのは「清潔感」と「信頼感」です。ここでは、朝セットしたスタイルが夕方まで崩れないことが重要。したがって、「カチッと感」を出せるジェルが圧倒的におすすめです。
特にツーブロックの刈り上げ部分をビシッと抑えたり、七三分けの分け目を一日キープしたりするのに最適です。手直しする必要がない(=リセット力不要)場面とも言えます。
h3: カジュアルシーン(デート・日常) → グリースが優勢
デートや友人との外出など、決めすぎない「こなれ感」が欲しい場面。ここでは「リセット力」のあるグリースが活躍します。
2025年も人気のセンターパートやゆるめのパーマスタイルは、ガチガチに固めるよりも、しっとりとしたツヤと動きのある毛流れがポイント。風で乱れてもカフェのトイレでサッと手直しできるグリースが最適です。
h3: フォーマルシーン(イベント・結婚式) → ジェルが優勢
結婚式のお呼ばれなど、絶対に崩したくないフォーマルな場面。ここではビジネスシーン以上に「キープ力」が求められます。オールバックやタイトなショートカットを完璧に固めるには、ジェルの「カチッと感」が必須です。
ただし、コームを使ったクラシカルな毛流れを作りたい場合は、ハードタイプのグリースでビシッと寝かしつけるテクニックもあります。
失敗しない!グリース/ジェルの基本セット術 (5分)
💡 どちらも「濡れた髪」に「均一になじませる」のが成功の鍵です。グリースもジェルも、その性能を最大限に引き出すには「水分」が重要です。乾いた髪にいきなりつけるのはNG。5分で終わる基本の時短セット手順を紹介します。
📋 グリース/ジェル 共通5分セット術
プレスタイリング (2分) 髪全体をしっかり濡らし、タオルドライ。半乾き状態(水分が残っている)にする。
塗布 (1分) 10円玉大を手のひら全体に薄く伸ばし、髪全体に均一になじませる。
スタイリング (2分) 手ぐしやコームで毛流れを整え、シルエットを作る。
h3: グリースセットの追加コツ
グリースは乾いた髪にも使えますが、基本は半乾きの髪が最もなじみが良いです。塗布した後、ドライヤーの弱風で軽く熱を当てるとツヤとまとまりがアップします。コーム(くし)を使うと、クラシカルでタイトなスタイルが作りやすいです。
h3: ジェルセットの追加コツ
ジェルは「スピード勝負」です。STEP1のタオルドライ後、髪が濡れている状態で素早くSTEP2、STEP3を終わらせます。乾き始めてから形を変えようとすると、ムラになったり白い粉が出たりします。
【サロン事例】「私のサロンでは、ジェルで失敗する方の約7割が『乾いた髪』に使おうとしています。ジェルは髪の水分と混ざり合って初めて均一に伸び、乾くときに固定力を発揮します。必ず濡らしてから使ってください。」
プロが教える「グリース vs ジェル」使いこなし術 (NG vs OK)
💡 根本的な違いを理解すれば、よくある失敗は防げます。グリースとジェルの特性を無視した使い方は、セット失敗の元です。プロの視点から、やりがちなNG例と正しいOK例を対比しました。
⚖️ グリース/ジェル NG vs OK
❌ NG例 (失敗する使い方)
- [ジェル] 乾いた髪につける (→ムラになり固まる)
- [ジェル] 固まった後に手直しする (→白い粉が出る)
- [グリース] 根本にベッタリつける (→重さで潰れる)
- [共通] 一箇所に固めてつける (→ベタつくだけ)
✅ OK例 (正解の使い方)
- [ジェル] 濡れた髪に素早くつける
- [ジェル] 乾く前に一発で形を決める
- [グリース] 毛先中心になじませ、ツヤと流れを作る
- [共通] 手のひらで透明になるまで薄く伸ばす
特に注意してほしいのが、ジェルの「リセット不可」という点です。
⚠️ ジェルが固まった後の手直しは絶対にNGです!「ちょっと毛先を動かしたい」と思って触った瞬間に、フレーキング(白い粉)が発生します。もし手直しが必要になりそうなら、それはあなたのスタイルやライフスタイルにジェルが合っていない証拠。素直に「リセット力」のあるグリースを選びましょう。スタイリング剤を使った日のダメージケアも忘れずに行うことが、良いコンディションを保つ秘訣です。
「グリース vs ジェル」よくある質問(FAQ)
💡 お客様から頂くリアルな疑問に、美容師がスッキリお答えします。サロンワークで実際によく聞かれる、グリースとジェルに関する質問をまとめました。
Q1. 初心者にはグリースとジェルのどっちがおすすめ?
A1. 「グリース」をおすすめします。
理由は、「リセット力(再整髪力)」があるからです。ジェルは乾くのが速く、固まったら修正できません。初心者のうちは、セットに時間がかかってしまいがちです。ゆっくり形を整えられ、何度でもやり直せるグリースの方が、失敗が少なく扱いやすいでしょう。
Q2. グリースと「ポマード」の違いは何ですか?
A2. 現代では、ほぼ同じものを指すことが多いです。
歴史的には「ポマード=油性(落としにくい)」、「グリース=水性(落としやすい)」という区別がありました。しかし最近は、ポマードも水性のものが主流になっています。そのため、「水性ポマード」と「グリース」は、メーカーによる呼び方の違い程度で、「ツヤが出てリセット力があるスタイリング剤」として同じカテゴリーで考えて問題ありません。
Q3. ジェルが白い粉(フレーキング)になる原因と対策は?
A3. 原因は「乾いた後に触ること」と「つけすぎ」です。
対策は以下の3つです。
- 必ず濡れた髪に使う:水分がジェルの樹脂を均一に伸ばす助けになります。
- 適量を守る:つけすぎると、余分なジェルが固まって粉になりやすくなります。
- 乾いたら絶対に触らない:これが最も重要です。セットは乾く前に完了させましょう。
それでも粉が出る場合は、他のスタイリング剤(ワックスなど)と混ざって化学反応を起こしている可能性もあります。シャンプーでリセットしてから使いましょう。
Q4. グリースやジェルを、ワックスと混ぜて使ってもいい?
A4. 上級者テクニックですが可能です。ただし、ジェルは非推奨です。
グリース + ワックス:◎ 可能です。グリースのツヤとワックスのセット力(束感)を両立できます。グリース2:ワックス1程度で混ぜるのがおすすめです。 ジェル + ワックス:△ 非推奨です。ジェルが持つ「水分で固まる」性質を、ワックスの油分が邪魔してしまい、固まりきらずに中途半端な仕上がりになることが多いです。私の経験上、これは避けた方が無難です。
まとめ:カチッと感の「ジェル」、リセット力の「グリース」を使いこなそう
今回は、メンズヘアセットの定番「グリース vs ジェル」について、その核心的な違いである「カチッと感」と「リセット力」を軸に徹底比較しました。
🎯 グリース/ジェル 失敗しない選び方 3つのポイント
グリースとジェルの違いを正しく理解し、あなたのライフスタイルや求めるトレンドヘアに合わせて使い分けることが、メンズヘアセット上達への一番の近道です。
どちらが良い・悪いではなく、どちらが「今のあなたに合っているか」で選んでみてください。この記事が、あなたの毎朝のスタイリングの助けになれば幸いです。
📚 参考文献
- ARIMINO (アリミノ) 公式サイト (製品情報)
- LebeL (ルベル) ジオシリーズ公式サイト (製品情報)
- ホットペッパービューティーマガジン (メンズヘアトレンド情報)
- GQ Japan (メンズスタイリング特集)
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