はじめに:サロンワークの「赤み問題」を解決する新星
KIRATERA新色『グレーマット』は、複雑履歴の赤み消しに特化したプロ専用設計です。美容師歴20年以上の「髪技屋さん」です。2025年のサロントレンドは、引き続き「赤みを抑えた透明感カラー」が主流です。しかし、縮毛矯正やブリーチが混在する「複雑履歴」のお客様の赤みを均一に消し切るのは、非常に難易度が高いですよね。そんな現場の悩みに応えるべく登場したのが、b-exの高濃度アルカリカラー「KIRATERA(キラテラ)」の新色『グレーマット』です。この記事では、この『グレーマット』の特徴を深掘りし、明日からのサロンワークで即戦力となる実践的な調合レシピとテクニックを解説します。
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2025年トレンドと『グレーマット』のポジショニング
2025年は「オリーブグレージュ」など、寒色系でも柔らかさのある色がトレンドです。近年のトレンドとして「グレージュ」や「ラベンダーグレージュ」が人気ですが、2025年はさらに赤みを抑えた「オリーブグレージュ」や、地毛風の暗髪でも透明感のある「シアーグレージュ」が注目されています。共通するのは、「日本人特有の赤みをいかに消し、透明感を出すか」という点です。しかし、お客様の髪はブリーチ毛、新生毛、既染毛(ダメージレベルが違う)が混在していることがほとんど。従来のマット系薬剤では、赤みを消そうとすると毛先が緑に振れたり、暗く沈み込んだりする失敗も少なくありませんでした。KIRATERAの『グレーマット』は、まさにこの「複雑履歴の凸凹アンダー」と「頑固な赤み」を同時に補正し、均一な寒色ベースを作るために開発された、トレンドカラーの土台を支える戦略的な薬剤と言えます。
高濃度KIRATERA『グレーマット』徹底解剖
『グレーマット』最大の特徴は、緑みを出さずに赤みを消し、毛先が沈まない点です。この薬剤が従来のマット系と一線を画すポイントを、プロ目線で3つに絞って解説します。
- 緑みが出すぎない「赤み消し」設計 従来のマット(緑)は赤みの補色として有効ですが、特にブリーチ毛やダメージ毛では緑が強く出すぎる傾向がありました。『グレーマット』は、赤みを打ち消すのに必要な緑みは持ちつつ、それが主張しすぎないよう染料バランスが調整されています。これにより、アンダーの赤みだけを狙ってフラットな状態に整えることが可能です。
- 複雑履歴に対応する「沈み込み防止」処方 私の経験上、ダメージレベルが異なる毛先に寒色系を乗せると、ポーラス部(ダメージ部分)が染料を吸い込みすぎて暗く沈むケースが多発します。『グレーマット』は、この毛先の沈み込みを抑える設計になっており、新生部から毛先まで自然なつながりを実現しやすいのが大きな強みです。
- 高濃度&ローアルカリ「1:2ミックス」 KIRATERAは全ラインナップが1剤:2剤(オキシ)= 1:2 のローアルカリ処方です。これにより、アルカリ量を低減し、髪への負担を抑えながらも、高濃度設計(Core Shade 処方)によるしっかりとした発色を実現します。2剤の量が多いことで塗布量も確保しやすく、ムラなくスピーディーに施術できる点もサロンワーク向きです。
【実践】『グレーマット』施術手順とベース別・調合レシピ
ベース診断が最重要。赤みの強さとダメージレベルを見極め、オキシを選定します。ここでは『グレーマット』(G-Mat)のポテンシャルを最大限に引き出すための手順と、現場で使える調合レシピを紹介します。
ヘアカラーはアレルギー反応(かぶれ)を引き起こす可能性があります。お客様の体調や履歴を確認し、必ず施術48時間前にパッチテスト(皮膚アレルギー試験)を行ってください。
📋 『グレーマット』活用 3ステップ手順
ベース診断(赤みレベルと履歴確認)
調合(1:2ミックス厳守、オキシ選定)
塗布&放置(沈み込みを警戒しテスト)
STEP1:ベース診断(最重要)
『グレーマット』は赤み補正力が強いため、アンダーの見極めが全てです。特に「赤みの強さ(オレンジ寄りか、赤寄りか)」と「ダメージレベル(沈み込みやすさ)」を正確に診断します。複雑履歴の場合、新生部、中間、毛先で薬剤やオキシ濃度を変える(塗り分ける)準備が必須です。
STEP2:調合(1:2ミックス厳守)
KIRATERAは必ず1剤:2剤 = 1:2の比率を守ります。このバランスが崩れると、発色やアルカリコントロールが設計通りに機能しません。オキシは、リフト力が必要なら6%、トーンキープやダメージ部なら3%や2%を使い分けます。
STEP3:塗布&放置
『グレーマット』は沈み込みにくい設計ですが、高濃度であることに変わりありません。特にハイトーン毛やポーラス毛への塗布は、放置時間を通常より短め(例: 10〜15分)に設定し、こまめに発色をチェックすることが失敗を防ぐ鍵です。
📊 ベース別『グレーマット』調合レシピ
| ベース状態 | 調合レシピ (1:2ミックス) | 放置時間 | 施術時間(目安) |
|---|---|---|---|
| 赤みが強いバージン毛 (6レベル) | KIRATERA 9/G-Mat 50g + OXY 6% 100g (ミディアム目安、仕上がり8〜9レベル) | 20〜25分 | 約90分 |
| 複雑履歴(中間オレンジ/毛先黄) (8〜12レベルムラ) | KIRATERA 7/G-Mat 40g + OXY 3% 80g (赤みを抑えトーンダウン。仕上がり7レベル) | 15分 | 約90分 |
| ブリーチ後(16レベル) 黄み消し&透明感 | KIRATERA 9/G-Mat 30g + 9/D-Grey 10g + OXY 2% 80g (ミディアム目安、仕上がり10レベル) | 10〜15分 | 約120分 (ブリーチ含まず) |
| 暗髪・シャドールーツ (根元〜中間) | KIRATERA 5/G-Mat 20g + 3/D-Grey 20g + OXY 3% 80g (バレイヤージュ等の根元。仕上がり4〜5レベル) | 15分 | 約100分 |
顧客対応のコツ
『グレーマット』を使った施術では、カウンセリングが非常に重要です。特に「赤みを消したい」というオーダーのお客様には最適ですが、「緑っぽくなるのが怖い」という不安をお持ちの方もいます。その際は、「この薬剤は、従来のマットと違って緑みが強く出すぎず、赤みだけを抑えて透明感を出すように設計されています」と、薬剤の特性を具体的に説明すると安心していただけます。また、複雑履歴のお客様には「根元と毛先で薬剤を調整し、均一な仕上がりを目指します」と、プロの技術(塗り分け)をアピールするのも信頼につながります。
髪質別・履歴別アプローチ
『グレーマット』の使いこなしは、まさに髪質と履歴の見極めにかかっています。
- 赤みが残りやすい健康毛・硬毛 このタイプは、赤みを消す力が最優先です。『9/G-Mat』や『7/G-Mat』をメインに、オキシは6%を使用してリフトさせながらしっかり赤みを削ります。KIRATERAの既存色である『Craft Blue』を10%程度ミックスし、さらに赤みを打ち消すのも有効です。
- 沈み込みやすいダメージ毛・軟毛 このタイプは、赤みは消えやすい反面、緑への振れと沈み込みが懸念されます。オキシは3%または2%を選択。クリア剤(CL)を20〜30%ミックスして染料濃度を薄めるか、放置時間を短く(10分程度)設定します。あえて『グレーマット』のレベルを明るめ(9/G-Matや13/G-Mat)に設定するのも沈み込み防止策として有効です。ブリーチ履歴がある場合は、ブリーチカラーのダメージ管理が重要です。
プロのコツとNG例:『グレーマット』の失敗回避術
失敗の多くはアンダー診断ミス。特にブリーチ毛への単品使用は緑に振れやすいです。『グレーマット』は強力な武器ですが、特性を理解しないと「緑すぎ」「暗すぎ」といった失敗につながります。プロが陥りがちなNG例と、正しい対処法を学びましょう。
⚖️ 『グレーマット』施術 NG vs OK
❌ NG例
- 黄みの強いブリーチ毛に単品使用(→緑に振れる)
- 1:1などメーカー非推奨の比率で調合(→性能低下)
- ダメージ毛に6%オキシで塗布(→過剰なダメージ)
- 赤みが強い髪に低レベルを乗せる(→赤みが消えず濁る)
✅ OK例
- 黄みには紫系(Smoky Pink等)を10%補色
- 必ず1:2ミックスを厳守する
- ダメージ毛は2%や3%オキシ、またはクリアで調整
- 赤みが強い髪は9/G-Matなど明るめでリフトしつつ赤みを消す
失敗時のリカバリー方法
万が一、狙い通りにいかなかった場合の対処法を知っておくこともプロの嗜みです。
1. 緑みが強く出すぎた場合
⚠️ 最も避けたい失敗です。『グレーマット』は緑みが出にくい設計ですが、アンダーが黄色に振り切れている(17レベル以上)と緑に振れることがあります。リカバリーは、緑の補色である「赤系」や「ピンク系」の薬剤(例: KIRATERA Smoky Pink)をシャンプー台で少量塗布し、乳化させながら色を相殺します。5分程度で流し、色味を慎重に確認してください。
2. 毛先が沈み込みすぎた(暗くなった)場合
これは薬剤の吸い込みが原因です。ダメージ毛への対応はダメージケアの知識が問われます。リカバリーとしては、毛先の沈んだ部分にのみライトナー(ブリーチではない)やクリア剤に低オキシ(1.5%〜3%)を混ぜたものを塗布し、アルカリの力で染料をわずかに浮かせます。放置時間は3〜5分とごく短くし、慎重にチェックします。
3. 赤みが消えなかった場合
これはリフト力不足か、薬剤選定ミスです。ブリーチなしの場合、6%オキシで9/G-Matや13/G-Matなど、より明るいレベルの薬剤を選定し直します。または、『グレーマット』に『Craft Blue』を10〜20%追加して、赤みを打ち消す力を強化して再施術します。ただし、オキシアップは髪への負担が増えるため、お客様の髪の体力を見極める必要があります。
よくある質問(FAQ)
『グレーマット』に関する疑問は、従来のマット系との違いに集中しています。
- Q1. ブリーチなしでも赤みは消えますか?
- A1. はい、消せます。それが『グレーマット』の強みです。6レベル程度の赤みが強い地毛でも、9/G-Matや13/G-Matを6%オキシ(1:2)で使えば、リフトしながら赤みを強力に補正し、8〜10レベルの透明感ある仕上がりが期待できます。ただし、元の髪が暗いほど、仕上がりの明度には限界があります。
- Q2. 従来のマット系(緑)と何が一番違いますか?
- A2. 「緑みが出すぎない」点です。従来のマット系は赤みを消す力はあっても、仕上がりが緑に寄りすぎる(特に毛先)ことが課題でした。『グレーマット』は赤みを打ち消す補色としての機能に特化し、仕上がりの色みが緑に振れないよう設計されています。
- Q3. KIRATERAのオキシ(2剤)は専用品が必要ですか?
- A3. メーカーは専用のKIRATERA OXYの使用を推奨しています。KIRATERAカラーは1剤と2剤が「1:2」の比率で混合されることを前提に、アルカリや発色が最適化されています。他社製のオキシ(特に1:1設計のもの)を使用すると、意図した通りのパフォーマンス(発色、低ダメージ)が得られない可能性が高いため、専用品のライン使いが原則です。
- Q4. 色持ちを良くするお客様へのアドバイスは?
- A4. 寒色系カラーは一般的に色落ちが早めです。特に『グレーマット』で赤みを抑えた髪は、色が抜けると元の赤みや黄みが出やすくなります。お客様には、「カラーシャンプー(紫やアッシュ系)」の使用を推奨し、褪色の過程も楽しんでいただくようお伝えしましょう。また、施術当日のシャンプーを控えていただくことや、熱いお湯を避けるといった基本的なヘアケアも重要です。
まとめ:『グレーマット』で複雑履歴の赤みを制する
KIRATERA『グレーマット』は、現代の複雑なヘアカラー事情に対応する強力なツールです。2025年の透明感カラートレンドにおいて、避けて通れない「赤み」と「複雑履歴」。この新色『グレーマット』は、「緑に振らさず赤みを消す」「沈み込ませず均一にする」という、プロが求める難しい要求に応えてくれる薬剤です。
高濃度設計と1:2のローアルカリ処方という特性を正確に理解し、ベース診断を徹底すること。それこそが、この『グレーマット』を使いこなし、お客様の満足度を高める最短ルートです。ぜひ明日からのサロンワークに取り入れ、ワンランク上のヘアカラーレシピを提案してください。
📚 参考文献
- 株式会社b-ex「KIRATERA」公式サイト
- 美容業界メディア各社(2025年トレンドレポート)
- 日本ヘアカラー協会(JHCA)技術ガイドライン
※本記事はプロ美容師向けの技術情報であり、セルフカラーを推奨するものではありません。アレルギーや症状が気になる場合は医師に相談してください。
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