はじめに:40代の白髪ぼかしニーズに応える「ロイヤルヴェール」登場
2025年9月、40代の肌映えハイトーン戦略を塗り替える新色がウエラから登場しました。美容師歴20年以上の「髪技屋さん」です。サロン現場では「白髪は気になる、でも暗く染めたくない」という40代のお客様のニーズが爆発的に高まっています。従来の白髪染めでは対応しきれなかった、明るさと透明感、そして肌のくすみを飛ばす「肌映え」。この難題に応えるのが、イルミナカラーの系譜に連なる新色『ロイヤルヴェール』です。この記事では、『ロイヤルヴェール』の特徴を最速で分析し、明日からサロンで使える「白髪ぼかしハイトーン」の具体的な調合レシピと施術の極意を徹底解説します。
2025年秋冬トレンドと「肌映えハイトーン」の背景
2025年秋冬の40代向けカラートレンドは、「白髪染めを使わない」ハイトーンの白髪ぼかしが主流です。従来の「白髪を隠す」というネガティブな発想から、「白髪を活かしてデザインする」ポジティブな施術へと完全にシフトしました。私のサロンでも、40代以上のお客様からのハイトーン(特にハイライトやバレイヤージュ)のオーダーは、この1~2年で約3割増加しています。
しかし、40代のハイトーンには特有の課題があります。それは、「白髪」「黄ばみが出やすい髪質」「エイジングによる肌のくすみ」という3つの壁です。単に明るくするだけでは、黄ばみが目立って品がなく見えたり、かえって肌がくすんで見えたりする危険性があります。だからこそ、2025年のトレンドは「肌映え」がキーワード。黄ばみを抑えつつ、ヴェールをかけたような柔らかいツヤと透明感を与え、お客様の肌色をワントーン明るく見せる技術が求められています。『ロイヤルヴェール』は、まさにこのニーズに応えるために開発された戦略的な新色と言えるでしょう。
イルミナカラー『ロイヤルヴェール』とは?40代の白髪ぼかしに適う理由
『ロイヤルヴェール』は、40代特有の黄ばみを補正し、肌に透明感を与える「ヴェール処方」が最大の特徴です。2025年9月下旬に発表されたこの新色は、イルミナカラーが持つ「光色」のDNAを受け継ぎつつ、特にエイジング毛の悩みにフォーカスしています。単体での使用というよりは、既存のイルミナカラーと組み合わせることで真価を発揮する「コントロールカラー」としての側面が強いと私は分析しています。
まだ詳細な色相がメーカーから発表され尽くしていない現時点(2025年10月)での分析ですが、その名の通り「ヴェール」=薄い膜を張るような色味、つまり「淡いバイオレット」や「シアーなベージュ」のニュアンスを強く持つと予想されます。これにより、ブリーチ後の黄ばみ(Yellow)を打ち消し、白髪(White)と黒髪(Black)のコントラストを柔らかく繋ぐことができます。
なぜ「白髪ぼかし」に効くのか?
40代の白髪ぼかしハイトーンは、多くの場合14~16レベルのハイライトベースを必要とします。このベース作りで必ず直面するのが「黄ばみ」です。『ロイヤルヴェール』の持つヴェール感(=淡い補色効果)は、この黄ばみを強力に打ち消し、白髪が浮かないように馴染ませる「つなぎ」の役割を果たします。
従来のイルミナカラーで言えば、「オーシャン」の青みや「スターダスト」のシルバー感に近いですが、それらよりもさらに淡く、柔らかく、肌色をくすませない「肌映え」に特化している点が新しいポイントです。例えば、オーシャン単体では青みが強く出過ぎて肌が青白く見えることがありましたが、『ロイヤルヴェール』をミックスすることで、その青みを和らげ、肌なじみの良い「シアーグレージュ」へと昇華させることができます。
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【実践】ロイヤルヴェールを使った「白髪ぼかしハイトーン」施術手順と調合レシピ
成功の鍵は、白髪率とアンダーベースに合わせた『ロイヤルヴェール』のミックス比率とオキシ選定です。ここでは、40代のお客様に最も多い「白髪率20~30%」を想定した、ハイライトベースからのオンカラー技術を解説します。
ヘアカラー施術はアレルギー(ジアミン等)のリスクを伴います。お客様の安全を守るため、施術の48時間前に必ずパッチテスト(皮膚アレルギー試験)を実施してください。過去に問題がなかったお客様でも、体調の変化で反応が出ることがあります。
📋 40代向け 白髪ぼかしハイトーン施術手順
診断とベース作り(白髪ぼかしハイライト)
中間水洗とプレトリートメント
『ロイヤルヴェール』ミックスでオンカラー
STEP1:診断とベース作り(白髪ぼかしハイライト)
40代の白髪ぼかしは、ブリーチを使ったハイライトが不可欠です。白髪率20%なら、全体の20%程度がハイライトになるよう、細かいウィービングでチップを取ります。特に顔まわりや分け目に多く入れると効果的です。
- 使用薬剤: ウエラ ブリーチマスター + オキシ 6% (1:2)
- ポイント: 根元は1cm空けて塗布し、熱がこもらないようにします。放置時間はベースの暗さによりますが、14~15レベル(ペールイエロー)になるまでしっかりリフトさせます。ここで妥協すると、オンカラーで黄ばみが消えません。
STEP2:中間水洗とプレトリートメント
ブリーチを流した後、シャンプー台でしっかりアルカリ除去と中間処理を行います。イルミナカラーはデリケートなため、ベースコンディションが仕上がりを大きく左右します。pHを整え、ダメージホールを埋める処理(例:ファイバープレックス No.2、オラプレックス No.2など)を必ず行い、オンカラーのムラを防ぎます。
STEP3:『ロイヤルヴェール』ミックスでオンカラー
ここが最重要ポイントです。『ロイヤルヴェール』(RVと仮定)を軸に、ベースの黄ばみとお客様の希望色に合わせてイルミナカラーの既存色をミックスします。オキシは3%または1.5%を使い分け、ダメージと沈み込みをコントロールします。
📊 『ロイヤルヴェール』活用 白髪ぼかし調合レシピ
| ベース状態(想定) | 調合レシピ(1剤:2剤 = 1:2) | 放置時間 | 施術時間(目安) |
|---|---|---|---|
| [肌映えシアーグレージュ] 白髪率20% / ハイライト15Lv | ロイヤルヴェール(10) + スターダスト(10) + ヌード(10) 比率 = 2 : 1 : 1 オキシ = 3% (1:2) (ミディアム目安: 合計40g + OXY 80g) (仕上がり: 11レベルの透明感グレージュ) | 15分 | 約180分 (ハイライト込) |
| [黄ばみ消しヴェールベージュ] 白髪率10% / 全体13Lv | ロイヤルヴェール(12) + ヌード(12) + クリスタル 比率 = 1 : 1 : 1 オキシ = 1.5% (1:2) (ミディアム目安: 合計60g + OXY 120g) (仕上がり: 12レベルの柔らかいベージュ) | 10分 | 約150分 (ブリーチ込) |
| [白髪を馴染ませるラベンダー] 白髪率30% / ハイライト16Lv | ロイヤルヴェール(8) + オーキッド(8) + シャドウ 比率 = 3 : 1 : 10% (シャドウは総量の10%) オキシ = 3% (1:2) (ミディアム目安: 合計50g + OXY 100g) (仕上がり: 9レベルの深みラベンダー) | 20分 | 約180分 (ハイライト込) |
- レシピ1: 王道の白髪ぼかし。スターダストのシルバー感とロイヤルヴェールのヴェール感(黄ばみ補正)で、白髪とハイライトを繋ぎます。ヌードで肌なじみをプラス。
- レシピ2: ダメージ毛や沈み込みが怖いベース用。1.5%オキシとクリスタルで薬剤を希釈し、黄ばみだけをマイルドに消し去り、透明感を最大化します。
- レシピ3: 白髪率がやや高め(30%超)の場合。ロイヤルヴェールとオーキッドでしっかり黄ばみを補正しつつ、シャドウを少量加えて白髪の浮きを抑えます。
顧客対応のコツ:40代の不安を取り除くカウンセリング
40代のお客様がハイトーンに挑戦する際、最大の不安は「派手になりすぎないか」「ダメージは大丈夫か」の2点です。ここで『ロイヤルヴェール』は強力な提案ワードになります。
トーク例: 「白髪染めで暗くするのではなく、白髪を活かしてハイライトで『ぼかす』方法はいかがですか? 9月に出たばかりの『ロイヤルヴェール』という新色があるんですが、これが40代の方の肌をすごく綺麗に見せてくれるんです。ブリーチで明るくした黄ばみを、ヴェールをかけたように柔らかく抑えてくれるので、派手な金髪ではなく、品のあるグレージュに仕上がりますよ。ダメージもイルミナカラーなので最小限に抑えられます」
「派手」ではなく「品がある」、「黄ばみ」ではなく「透明感」というポジティブな言葉で、仕上がりイメージを共有することが重要です。 適切なダメージケアの提案も忘れてはいけません。
髪質別:『ロイヤルヴェール』施術の注意点
イルミナカラーは髪質によって発色が大きく変わります。
1. 細毛・軟毛・ダメージ毛(沈み込みやすい髪質) 最も注意が必要なケースです。特にブリーチベースの毛先は吸い込みが激しく、ロイヤルヴェールの補色(バイオレット系と仮定)が強く入りすぎ、濁った灰色になる危険があります。 対策: オキシは必ず1.5%を使用。またはクリスタルを30%以上ミックスして薬剤を希釈します。塗布も毛先を最後にするか、毛先だけ薬剤を変える(クリスタルを多めにする)等の工夫が必要です。
2. 太毛・硬毛・撥水毛(色が入りにくい髪質) 逆に黄ばみが消えきらないケースです。ベースのブリーチで15レベルまでしっかりリフトさせることが大前提。 対策: オンカラーのオキシは3%を選択。レシピ3のように、シャドウやオーキッドなど、やや濃いめのシェードを10%程度ミックスして、発色をサポートします。放置時間も標準(15~20分)をしっかり置きます。
プロのコツとNG例:ロイヤルヴェールの失敗回避術
新色は特性を掴むまでが勝負です。特にハイトーンベースでの失敗はリカバリーが難しくなります。
⚖️ 白髪ぼかしハイトーン NG vs OK
❌ NG例
- ブリーチが甘く12Lv(オレンジ)で妥協
- ダメージ毛に3%オキシで毛先が沈む
- ⚠️ 白髪を染めようとシャドウを入れすぎる
- 黄ばみと補色の選定ミスで緑に濁る
✅ OK例
- 15Lv(ペールイエロー)までしっかりリフト
- 毛先は1.5%オキシ or クリスタルで希釈
- シャドウは総量の10%以内(白髪をぼかす)
- 黄ばみにはロイヤルヴェール(紫系)を的確に
⚠️:失敗時のリカバリー方法
万が一、新色『ロイヤルヴェール』で失敗した場合の対処法です。
1. 毛先が沈み込みすぎた(灰色・紫になりすぎた) イルミナカラーはアルカリが低いため、ブリーチ毛に濃く入りすぎることがあります。焦って脱染剤を使うとさらにダメージが進みます。まずは「イルミナカラー クリスタル」単品 + オキシ 6% (1:2) を塗布し、5~10分放置します。クリスタルの持つ微アルカリとリフト力で、入りすぎた色味をマイルドにリフトアップできます。
2. ムラになった(ハイライト部分だけ色が違う) 薬剤選定ミスです。ハイライト部分が明るすぎ、地毛部分が暗すぎることが原因。一度流し、ハイライト部分にのみ、レシピ2(クリスタル多め)のような薄い薬剤を再塗布し、ハイライトと地毛の中間色を作ってぼかします。地毛部分には薬剤をつけないよう注意が必要です。
3. 黄ばみが全く消えなかった これは「ベースのブリーチ不足」または「補色の選定ミス」です。ベースがオレンジ(12Lv)なのにロイヤルヴェール(紫系)を使っても、黄ばみは消えません(オレンジには青=オーシャンが必要)。この場合、残念ながらオンカラーでの修正は困難です。一度流してから、黄ばみが残った部分だけを再度ブリーチ(ハイライト)し直すか、お客様に説明し、次回の施術でベースを作り直すのが賢明です。
『ロイヤルヴェール』と既存色の比較
ロイヤルヴェールは「肌映え」、既存色は「色相の強さ」にそれぞれの強みがあります。
📊 イルミナカラー白髪ぼかし比較
| シェード | 特徴 | 得意なベース | 注意点 |
|---|---|---|---|
| ロイヤルヴェール (新色) | ヴェール感(淡い紫系)。肌映え・くすみ補正。 | 14Lv以上のペールイエロー。 | 単体では色味が薄い可能性。ミックス推奨。 |
| スターダスト (既存) | シルバー(銀)。白髪との親和性が高い。 | 15Lv以上の白に近いベース。 | ベースが暗いとただの灰色になる。 |
| オーシャン (既存) | アクアブルー(青)。赤み・オレンジ消し。 | 12Lv~14Lvのオレンジ~イエロー。 | 黄ばみに使うと緑に振れるリスクあり。 |
結論として、『ロイヤルヴェール』は、スターダストやオーシャンでは強すぎて肌がくすんで見えてしまったお客様への新しい一手となります。特にイエローベース(イエベ)肌の40代女性に、くすまないハイトーンを提供する際に最適です。
よくある質問(FAQ)
ここでは、美容師仲間から寄せられる『ロイヤルヴェール』と白髪ぼかしに関する疑問に答えます。
まとめ:『ロイヤルヴェール』で40代の顧客満足度を高めよう
2025年9月新色のイルミナカラー『ロイヤルヴェール』は、40代の白髪ぼかしハイトーン提案の強力な武器です。
40代のお客様が求める「肌映え」「透明感」「品のある明るさ」は、従来の薬剤だけでは表現が困難でした。『ロイヤルヴェール』の持つヴェールのような黄ばみ補正力は、イルミナカラーの既存色(オーシャン、スターダスト、ヌード)と組み合わせることで、その真価を発揮します。
重要なのは、ベースとなるブリーチワークを妥協せず、お客様の髪質(特にダメージレベル)を見極め、オキシ濃度とクリスタル希釈を的確にコントロールすることです。この新しい武器を使いこなし、「白髪染めから卒業したい」と願うお客様のニーズに応え、サロンの客単価と満足度をさらに高めていきましょう。
私のYouTubeチャンネル「髪技屋さん」では、白髪ぼかしやダブルカラーの施術手順も詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
📚 参考文献
- ウエラ プロフェッショナルズ 公式サイト (イルミナカラー)
- PR Times (ウエラジャパン合同会社 プレスリリース 2025年9月)
- 日本ヘアカラー協会(JHCA)技術ガイドライン
※本記事はプロの美容師向け技術情報であり、セルフカラーを推奨するものではありません。アレルギーや症状が気になる場合は医師に相談してください。
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