はじめに:ケラチントリートメントで髪は本当に「修復」できる?
結論から言うと「修復(再生)」ではなく「補修(強化)」です。こんにちは、美容師歴20年以上の「髪技屋さん」です。2025年のヘアケアトレンドとして、Amazonでも「ケラチン」を配合したトリートメントが非常に人気を集めています。
「ダメージ毛が生き返る?」「くせ毛も治るの?」そんな期待の声をサロンでもよく耳にします。私の経験上、ハイダメージに悩むお客様の約4割が、こうした強力な補修ケアに興味を持たれています。
しかし、ケラチンの効果には「できること」と「できないこと」が明確にあります。この記事では、プロの視点からケラチントリートメントの真の効果と限界、そしてサロン施術とAmazonなどで手に入る市販品の違いを徹底的に解説します。
そもそもケラチントリートメントとは?美容師が仕組みを解説
髪の約80%以上を占める主成分「ケラチン」を髪に補充する技術です。髪がダメージを受けると、内部のタンパク質(ケラチン)が流れ出てしまい、髪の内部がスカスカの空洞状態になります。これが「ダメージホール」です。
このダメージホールこそが、パサつき、枝毛、切れ毛、そしてハリ・コシの低下の直接的な原因です。髪は一度死んだ細胞なので、肌のように自己再生(修復)することはありません。
そこで登場するのがケラチントリートメントです。特に「加水分解ケラチン」という、分子を小さくして髪内部に浸透しやすくしたケラチンが、このダメージホールに入り込み、隙間を埋めてくれます。例えるなら、壁のヒビ割れをセメントで埋めて補強するイメージです。
結果として、髪の内部密度が高まり、失われたハリやコシが復活。さらに髪の表面(キューティクル)の凹凸も整うため、手触りが滑らかになり、光をキレイに反射してツヤが生まれるのです。
なぜ今「ケラチン」がAmazonでも注目されるのか?
ハイトーンカラーなど「ハイダメージ施術」の一般化が最大の理由です。ここ数年、サロンのお客様の要望も多様化し、ブリーチを使ったハイトーンカラーや、デザインパーマ、縮毛矯正を楽しまれる方が非常に増えました。
それに伴い、従来の「保湿」や「コーティング」を中心としたトリートメントでは追いつかない、深刻なダメージ毛に悩む方も増加傾向にあります。私のサロンでも、髪の体力が限界に近い「テロテロ毛」の相談を受けることが増えました。
こうした背景から、髪の「骨組み」そのものであるケラチンを直接補充するケアが、ハイダメージの根本対策として再注目されています。
また、韓国ヘアケア(K-Beauty)製品の人気も大きな要因です。moremo(モレモ)やLa'dor(ラドール)といったブランドが、ケラチン(タンパク質)補給を手軽にできる高機能な市販品をAmazonなどで展開し、自宅ケアのレベルが一気に上がりました。
サロン施術と市販品(自宅ケア)の決定的な違い
最も違うのは「持続性」と「髪内部への定着力」です。どちらもケラチンを補給する点は同じですが、その効果の深さと持続期間には大きな差があります。私のサロンでの施術実績と、市販品の傾向を踏まえて比較します。
1. 持続期間の違い
サロン施術: 持続期間は約1ヶ月~3ヶ月。高濃度・高品質なケラチンを使用するだけでなく、熱(アイロンなど)や専用の薬剤を使って、ケラチンを髪の内部でしっかり結合させ「定着」させる工程が入ります。これにより、シャンプーしても流れ出しにくい状態を作ります。
市販品(自宅ケア): 持続期間は約数日~長くても2週間程度。主な役割は、髪の表面と浅い内部の補修です。サロン施術のように内部で強力に定着させる力は弱いため、毎日のシャンプーで少しずつ流れ出てしまいます。だからこそ、市販品は「毎日~数日に一度」使い、ケラチンを補い続ける必要があります。
2. 効果の違い(くせ毛へのアプローチ)
サロン施術: ダメージによる広がりやパサつきを抑えるのはもちろん、製品や技術によっては「髪質改善」として、一部の軽いくせ毛を落ち着かせる効果も期待できる場合があります。
市販品(自宅ケア): ⚠️ くせ毛そのものを伸ばす(直す)力はほぼありません。 あくまで「ダメージによる広がり」や「湿気によるうねり」を、髪の内部補修によって重さやまとまりを出すことで「抑える」のが目的です。くせ毛の矯正は、縮毛矯正や酸熱トリートメントの領域です。
3. コストの違い
当然ですが、コストも大きく異なります。
- サロン施術: 1回あたり 約8,000円~15,000円 が相場です。
- 市販品(自宅ケア): 1本あたり 約1,500円~4,000円 で、1~2ヶ月使用できます。
Amazonで選ぶ!美容師推奨の市販ケラチントリートメント比較
市販品は「毎日の補給」と「使いやすさ」を重視して選びましょう。サロンケアほどの持続性はないものの、2025年現在、Amazonで手に入る市販品は驚くほど進化しています。レビューサイトなどで高評価(Amazon★3.5以上相当)を獲得している、タイプの異なるおすすめ3製品を比較します。
📊 市販ケラチン配合トリートメント比較表
| 製品名 | タイプ | 価格目安 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| KESHIKI (ケシキ) ヘアトリートメント | インバス(クリーム) | ¥1,800前後 | ヒートケア処方。美容液成分95%以上。しっとり感とふんわり感を両立。 |
| moremo (モレモ) ウォータートリートメント ミラクル10 | インバス(液体) | ¥2,500前後 | 放置時間10秒。水タイプで浸透が早い。サラサラな仕上がり。 |
| La'dor (ラドール) ワンダーバーム | インバス(バーム) | ¥1,900前後 | 「水分爆弾」と呼ばれる高保湿・高タンパク処方。放置50秒。「とぅるとぅる」な手触り。 |
髪質別おすすめ度
私の経験上、髪質によってケラチンケアの相性は異なります。
- 細毛・軟毛・猫っ毛の方: moremo ウォータートリートメントがおすすめです。重たいクリームと違い、軽い液体タイプで髪をペタンとさせずにハリ・コシを与え、サラサラに仕上げます。
- 普通毛・カラーダメージ毛の方: KESHIKI ヘアトリートメントのバランスの良さが光ります。内部補修としっとりとしたまとまり、両方を求める方に最適。ヒートケア処方でドライヤーの熱を味方につける点も優秀です。
- 剛毛・ブリーチによるハイダメージ毛の方: La'dor ワンダーバームの出番です。「水分爆弾」の名の通り、タンパク質と水分を集中的に補給し、硬い髪やブリーチでゴワつく髪を「とぅるとぅる」の柔らかい手触りに導く力が強いです。
ケラチントリートメントが特に有効な人(おすすめな人)
ブリーチやパーマで「髪が痩せた」と感じる人に最適です。ケラチンは「補充」するケアなので、髪内部に隙間(ダメージホール)が多い人ほど効果を劇的に実感できます。
✅ こんな人におすすめ
- ブリーチやハイトーンカラーを繰り返している方
- 髪にハリやコシがなく、ペタンとしやすい方(特に細毛・軟毛)
- 髪を濡らすとテロテロに柔らかくなってしまう方
- 枝毛や切れ毛に悩んでいる方
- ダメージで髪が広がりやすい方(元々のくせ毛は除く)
逆に、効果が出にくい・不向きな人
一方で、良かれと思って使っても逆効果になるケースもあります。
1. 元々髪が太く硬い(剛毛)の方 元々ケラチン(タンパク質)がしっかり詰まっている剛毛の方がケラチンを過剰に補充すると、髪が「しっかりし過ぎ」てしまい、逆にゴワゴワしたり、硬くなったりする可能性があります。剛毛の方は、ケラチンよりも保湿(水分)を重視したトリートメントの方が相性が良いことが多いです。
2. 健康毛(バージン毛)の方 ダメージがほとんどない健康な髪は、補修すべきダメージホールがありません。そのため、ケラチントリートメントを使っても効果を実感しにくく、「ただ重たくなっただけ」と感じるかもしれません。
美容師が教えるメリットと知っておくべき注意点(デメリット)
最大のメリットは「ハリ・コシの復活」、注意点は「ゴワつき」です。ケラチンケアは万能薬ではなく、特性を理解して使うことが重要です。
🎯 ケラチンケア 3つのメリット
対処可能なデメリット(注意点)
もちろん、注意すべき点もあります。対策と合わせて知っておきましょう。
⚠️ デメリット1: 髪が硬くなる・ゴワつく可能性 前述の通り、髪質(剛毛)とのミスマッチや、ケラチンの過剰な使用(やりすぎ)が原因です。 【対策】もし硬さを感じたら、使用頻度を調整(毎日→3日に1回など)したり、保湿系のトリートメントと交互に使ったりすることでバランスが取れます。
⚠️ デメリット2: 効果が永続的ではない これは市販品にもサロン品にも言えることです。ケラチンはシャンプーと共に少しずつ流れ出てしまいます。 【対策】効果を維持するには、市販品で日々補給するか、サロンで定期的に(1.5〜2ヶ月ごと)施術を受ける「継続的なケア」が必要です。
自宅ケアの効果を最大化するプロのコツ
ケラチンは「入れ方」と「守り方」の両方が重要です。せっかく良い製品を使っても、使い方が雑だと効果は半減します。私のサロンでも必ずお伝えしているプロのコツをご紹介します。
プロの推奨する使用ステップ
- 予洗いとシャンプー: まずはぬるま湯で1〜2分しっかり予洗いし、汚れを落とします。シャンプーで頭皮と髪の汚れを完全にリセットし、ケラチンが入る土台を整えます。
- 水気を「しっかり」切る: これが最も重要です。髪がびしょ濡れだとトリートメントが薄まり、浸透効率が激減します。タオルドライとまではいかなくとも、手でぎゅっと握って水気をしっかり切ってください。
- 揉み込み(タッピング): 毛先などダメージが気になる部分を中心に塗布した後、髪を優しく握るように揉み込みます。この「揉み込み」で、成分が内部に浸透しやすくなります。
- 放置&チェンジリンス: 製品推奨の時間(10秒〜5分程度)を置きます。時間がある時は、洗面器にお湯をため、トリートメントがついた髪を浸してなじませる「チェンジリンス」をすると、ムラなく行き渡ります。
- すすぎ: ヌルつきが残らない程度に、しかし「すすぎ過ぎない」ことが大切。ケラチンが全て流れ出ないよう、髪に「少しうるおいが残っている」感覚で止めます。
💬 よくある声・Amazonレビュー傾向
Amazonレビューやサロンでよく聞く体験談をご紹介します。
- 「moremo(液体)は手軽だけど、すぐ無くなる」(量とコスパの意見)
- 「塗った瞬間はキシんだけど、乾かしたら驚くほどサラサラになった」(ケラチン特有の使用感)
- 「サロンでやったら1ヶ月ツヤが持った。市販品とは全然違う」(持続性への評価)
- 「剛毛の私には合わなかった。逆に硬くなった」(ミスマッチの典型例)
サロンと市販品のコストパフォーマンス比較
「即効性と持続性」ならサロン、「日々の維持」なら市販品です。どちらが良いかは、あなたの目的と予算次第です。
- サロンケア(1回 ¥10,000 / 2ヶ月持続と仮定) → 1日あたりコスト: 約 ¥167
- 市販品(1本 ¥2,500 / 1.5ヶ月使用と仮定) → 1日あたりコスト: 約 ¥56
数字だけ見ると市販品が圧勝ですが、サロンケアには「プロによる髪質診断」「高濃度施術による即時的な劇的改善」「持続性」という大きな価値があります。
美容師としての最適解は、深刻なハイダメージ毛(特にブリーチ毛)の方は、まず一度サロンで集中補修(土台作り)をし、その良い状態を市販のケラチンケアで「維持」していく方法です。これが最も効率的に美髪を保つルートだと、私の経験上感じています。
最終結論:ダメージ毛は「修復」できるのか?
残念ながら「再生修復」は不可能。しかし「補修」で見た目と手触りは劇的に改善します。
ケラチントリートメント総合評価: ⭐⭐⭐⭐☆(星4.0)
「修復」という言葉が持つ「元通りになる」という意味では、答えはNoです。しかし、ハイダメージ毛の「空洞を埋めるセメント」としては、これ以上ないほど有効な成分です。
家を建て直す(再生)ことはできなくても、ヒビ割れた壁を補強して頑丈にする(補修)ことは可能です。ケラチンケアは、まさに後者を実現する技術です。
2025年現在、Amazonで手に入る市販品も非常に進化しており、日々のケアに取り入れる価値は十分にあります。大切なのは、自分の髪質(特に細毛・ダメージ毛)に合うか、逆に(剛毛)ではないかを見極めて使うことです。
リピート判定: 「ハイダメージ毛(特に細毛・軟毛)ならリピート必須」のケアです。
ケラチントリートメントに関するFAQ(よくある質問)
市販品とサロン品の違いや、持続期間に関する質問に答えます。サロンでもよく聞かれる疑問をまとめました。
- Q1. 市販品とサロン品の一番の違いは何ですか?
- A1. 主に「持続期間」と「ケラチンの定着力」です。サロン用は特殊な薬剤や熱処理でケラチンを髪内部に強力に定着させるため、1〜3ヶ月持続します。市販品は日々の補給が前提で、持続は数日〜2週間程度です。
- Q2. 酸熱トリートメントとの違いが分かりません。
- A2. ケラチンは「タンパク質(栄養)を補充」する技術です。一方、酸熱トリートメントは「酸の力(グリオキシル酸など)で髪内部に新たな結合を作って補強・形状を整える」技術です。酸熱の方が、より「くせの矯正」に近いアプローチになります。
- Q3. 市販のトリートメントは1本でどれくらい持ちますか?
- A3. 製品の容量や髪の長さによりますが、一般的な200ml前後のトリートメント(KESHIKIやmoremoなど)をミディアムヘアの方が毎日使用した場合、約1ヶ月〜1.5ヶ月が目安です。
- Q4. 使うと髪が硬くなる(ゴワゴワする)って本当ですか?
- A4. 髪質に合わない場合(特に剛毛の方)や、使用量が多すぎる場合に起こり得ます。これはケラチンが補給されすぎて髪が「しっかりし過ぎた」状態です。使用頻度を減らすか、保湿系トリートメントと併用することで改善できます。
- Q5. どのくらいの頻度で使えばいいですか?
- A5. 市販品の場合、基本的には毎日ご使用いただいて問題ありません。ただし、Q4のように硬さを感じ始めたら、3日に1回程度に頻度を落とし、他の日は保湿系トリートメントを使うなど、バランスを取るのがおすすめです。
まとめ:ケラチンはダメージ毛の「補修」に最適なパートナー
ケラチントリートメントは「修復」はできませんが「補修」の力は本物です。2025年のヘアケアトレンドであるケラチントリートメントは、ハイダメージで失われた髪の体力を取り戻すための強力な選択肢です。
髪が「再生」することはありませんが、適切なケラチンケアで「補強・補修」することにより、見た目や手触りは劇的に改善します。
サロンでの集中ケアも、Amazonで手に入るKESHIKIやmoremoのような市販品でのデイリーケアも、あなたの髪の状態を確実に引き上げてくれます。この記事で解説したケラチントリートメントの特性と注意点を理解し、あなたの髪質に合ったケアを見つけてください。
📚 参考文献
- Amazon公式ページ(各商品レビュー)
- 株式会社多田(KESHIKI公式サイト)
- moremo(モレモ)公式サイト
- La'dor(ラドール)公式サイト
- 美容業界メディア(マイベスト、LIPS、@cosme)
※本記事は一般情報であり、医療アドバイスではありません。アレルギーや症状が気になる場合は医師に相談してください。
このレビューが参考になったら、同じ悩みを持つお友達にもシェアしてみてください
