【2025年秋冬】髪のパサパサは「暖房」が原因?美容師が教える乾燥対策
秋冬の髪の乾燥は、ヘアケアと「環境ケア」の両立が不可欠です。
秋が深まり、冬が近づくと、決まって髪がパサパサ、ゴワゴワになる…。特に暖房の効いた室内に入ると、静電気で髪が顔に張り付いたり、広がってまとまらなくなったりしませんか?
美容師歴20年以上の経験から言えることですが、その悩み、あなただけではありません。秋冬は、サロンにいらっしゃるお客様の約半数が「乾燥」に関する相談をされます。
多くの方がヘアオイルやトリートメントといった「髪への対策」に集中しがちですが、秋冬の乾燥問題の根本的な原因の一つは「暖房による室内の過度な乾燥」にあります。
この記事では、なぜ暖房が髪をパサパサにするのか、その科学的な理由と、美容師が実践する「乾燥スパイラル」を断ち切るための具体的な3ステップを徹底解説します。
この記事の結論
- 秋冬の髪のパサつきは、外気の乾燥と暖房による室内の湿度低下が主な原因です。
- 対策の鍵は、髪の水分量を奪わない「洗浄」、水分を補い守る「保湿」、そして環境を整える「加湿」の3つです。
- この記事では、美容師が実践する具体的な湿度コントロール術と、髪の水分を守る保湿ケアを詳しく解説します。
なぜ秋冬と暖房で髪はパサパサになるのか?
髪のパサつきは「水分量の低下」と「静電気」が原因です。
秋冬に髪のコンディションが急激に悪化するのには、明確な理由が2つあります。それは「髪内部の水分蒸発」と「静電気の発生」です。
原因1:暖房による「絶対的な水分不足」
健康な髪は、通常約12%〜15%の水分を含んでいます。しかし、髪は周囲の湿度に非常に影響されやすく、空気が乾燥していると、髪内部の水分は空気中に逃げていきます。
秋冬はただでさえ外気の湿度が低い(50%を下回る日が多い)のですが、問題は「室内」です。エアコンなどの暖房器具は、空気を温める際に室内の「相対湿度」を急激に下げてしまいます。
例えば、外気が5℃・湿度50%の空気を、暖房で25℃まで温めると、相対湿度は約20%以下にまで下がってしまうこともあります。これは、砂漠地帯と同レベルの乾燥状態です。
原因2:乾燥による「静電気」の発生
髪がパサパサになると、静電気も発生しやすくなります。これは、髪の水分量が減ることで電気が放電されにくくなり、髪一本一本がマイナスに帯電するためです。
(信頼性レベル1)一般的に、湿度が40%以下になると静電気は非常に発生しやすくなります。マイナス同士になった髪は反発しあい、結果として「広がる」「まとまらない」状態を引き起こします。
原因3:キューティクルの損傷
乾燥状態が続くと、髪の表面を覆うウロコ状の「キューティクル」がめくれ上がりやすくなります。キューティクルが損傷すると、その隙間からさらに内部の水分やタンパク質が流出し、パサつきが加速するという「乾燥スパイラル」に陥ってしまうのです。
美容師が教える「乾燥スパイラル」を断ち切る3ステップ対策法
「洗浄」「保湿」「環境」の3方向から同時にケアすることが重要です。
秋冬の乾燥対策は、髪に何かを与える「足し算のケア」だけでは不十分です。水分を奪う要因を減らす「引き算のケア」と、環境を整える「環境ケア」を組み合わせる必要があります。
ステップ1:【守る】洗浄ケアの見直し
まず見直すべきは、毎日のシャンプーです。秋冬は夏に比べて汗や皮脂の分泌が減少します。夏と同じ感覚で洗浄力の強いシャンプーを使い続けると、髪と頭皮に必要なうるおいまで奪い取ってしまいます。
お湯の温度は「38℃のぬるま湯」が鉄則
熱いお湯は髪と頭皮の大敵です。(信頼性レベル1)40℃以上のお湯は、髪内部の保湿成分(NMF)や頭皮のうるおいを守るセラミドを溶かし出してしまいます。シャワーの温度は必ず38℃程度のぬるま湯に設定し、必要以上に油分を奪わないようにしましょう。
シャンプーを「アミノ酸系」に切り替える
洗浄力がマイルドで、保湿力が高いアミノ酸系シャンプー(成分表示に「ココイルグルタミン酸Na」や「ラウロイルメチルアラニンNa」などと記載があるもの)への切り替えを推奨します。強い洗浄力(高級アルコール系など)は避け、優しく洗い上げることが乾燥対策の第一歩です。
ステップ2:【補う】保湿ケアの徹底(アウトバス)
お風呂上がりは、髪が最も無防備な状態です。濡れた髪はキューティクルが開いており、水分が急速に蒸発していきます。スピード勝負で保湿しましょう。
「ミスト/ミルク」と「オイル」の二重保湿
乾燥がひどい時期は、アイテムの使い分けが効果的です。
- タオルドライ後(濡れた髪に): まず、ミストタイプやミルク(乳液)タイプの洗い流さないトリートメントを使用します。これらは髪内部への水分補給と補修が目的です。
- ドライヤー後(乾かす途中〜仕上げ): ドライヤーで8割ほど乾かしたら、ヘアオイル(アルガンオイル、シアバター、椿油など)を毛先中心になじませます。オイルは髪内部を保湿するというより、先に補給した水分やトリートメント成分が逃げないように「フタ(皮膜)」を作る役割を果たします。
⚠️ 注意: 乾いた髪にいきなりオイルだけをつけても、内部に水分がないため「油でベタつくだけ」になりがちです。必ず水分(ミストなど)を補給してからオイルで蓋をしてください。
日中の「追い保湿」
暖房の効いたオフィスや室内に長時間いると、夜のケアだけでは水分が奪われていきます。特に乾燥を感じたら、携帯用のヘアミストや、ごく少量の軽いテクスチャのオイルで「追い保湿」をすると、静電気の防止にもなります。
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ステップ3:【環境】湿度コントロール
これが秋冬のケアで最も重要かつ、最も見落とされがちなポイントです。
暖房と「加湿器」は必ずセットで
(信頼性レベル1)髪と肌の健康を守るため、室内の湿度は最低でも40%、理想は50%〜60%を保つことが強く推奨されます。いくら髪を保湿しても、空気が砂漠状態では水分は奪われ続けます。
暖房をつける際は、必ず加湿器も同時に稼働させてください。加湿器を置く場所は、エアコンの風が当たりやすい場所や、リビングや寝室など、自分が最も長く過ごす場所が効果的です。
加湿器がない場合の応急処置
すぐに加湿器を用意できない場合は、以下の方法で湿度を上げましょう。
- 洗濯物や濡れタオルを室内に干す
- 観葉植物を置く(植物の蒸散作用)
- 霧吹きで室内に水を撒く
- デスクに水の入ったコップを置く(局所的)
プロが教える「秋冬ケア」のコツとNG行動
過度なケアを避け、髪の「体力」を温存することがコツです。
サロンワークで「これはやめてほしい」とお伝えするNG行動と、ぜひ取り入れてほしい「プロのコツ」をご紹介します。
💡 やるべきこと(ベストプラクティス)
- ブラッシング素材の変更 プラスチックやナイロン製のブラシは静電気を助長します。秋冬は、静電気が起きにくい「豚毛・猪毛」などの天然毛ブラシや、「木製」のブラシ(つげ櫛など)を使うのがおすすめです。
- ナイトキャップの活用 就寝中、髪は枕との摩擦で想像以上にダメージを受けています。特に乾燥した髪は摩擦に弱いため、シルク製のナイトキャップや枕カバーを使用すると、翌朝のまとまりとツヤが劇的に変わります。摩擦と静電気の両方を防げます。
- 外出時の「物理的保護」 冷たく乾燥した冬の外気に髪をさらし続けるのもNG。マフラーやストール、帽子などで髪を覆い、物理的に乾燥した空気から守ることも立派なヘアケアです。
⚠️ やってはいけないこと(NG集)
- NG: 髪が濡れたまま寝る これは年間通じてNGですが、乾燥する秋冬は特に致命的です。キューティクルが開いたまま摩擦を受けるため、一晩で髪はボロボロになります。必ず完全に乾かしてから寝てください。
- NG: 暖房の風が髪に直接当たる エアコンの温風は、超乾燥した風です。ドライヤーを至近距離で当て続けているのと同じこと。オフィスの席位置などで調整が可能なら、直風が当たる場所は絶対に避けてください。
- NG: 過度なブラッシング 髪をとかすこと自体は良いのですが、乾燥して絡まった髪を無理やりブラシでとくと、キューティクルが剥がれてしまいます。とかす際は毛先から優しくほぐし、静電気が起きたら一度ミストなどで湿らせてからとかしましょう。
リアルな声|暖房乾燥を克服したお客様の事例
適切なケアを2ヶ月続ければ、髪の状態は見違えるように変わります。
ここで、暖房による乾燥をうまく克服されたお客様の事例を一つ紹介します。(※ご本人の許可を得て、内容を要約しています)
【お客様の状況】 30代後半・女性。職業はオフィスワークで、冬は暖房がかなり強く効いた環境(ご本人談)にいらっしゃいました。
【ご来店時のベース状態】 髪質は細毛で、もともと乾燥しやすいタイプ。12月にご来店された際は、毛先がほうき状に広がり、静電気で顔周りに髪が張り付いてしまう状態でした。
【失敗していたケア】 パサつきを抑えようと、ご自身で市販の「重い(しっとり系)ヘアオイル」を毎朝たっぷりつけていました。しかし、髪はベタつくだけで芯からのパサつきは改善せず、夕方には静電気が発生していました。
【原因分析】 これは典型的な「インナードライ(内部乾燥)」の状態でした。髪内部の水分が暖房で奪われているのに、水分補給をせず油分(オイル)だけで蓋をしようとしていたため、表面だけがベタついていたのです。
【解決策と再現性】 以下の3点を徹底していただきました。
- シャンプーを保湿力の高いアミノ酸系に変更。
- お風呂上がりのケアを「ミスト化粧水 → ミルク(乳液) → 軽めのオイル」の3段階保湿に変更。
- オフィスでは、USB接続の「卓上小型加湿器」を導入してもらい、常にデスク周りの湿度を保つように依頼。
【結果】 次のご来店(約2ヶ月後)には、静電気がほぼ収まり、毛先にうるおいと柔軟性が戻っていました。ご本人からは「オイルの量を減らしたのに、髪がまとまるようになりました。加湿器の効果がこんなにあるとは思わなかったです」と嬉しい感想をいただきました。
秋冬の乾燥・暖房対策 よくある質問(FAQ)
日中のこまめなケアと、夜の摩擦対策が静電気防止の鍵です。
Q1. 静電気がひどいのですが、どうしたら防げますか?
A. 最も即効性があるのは「湿度を上げること」です。静電気は湿度が40%以下で急激に発生します。加湿器の利用がベストですが、難しい場合はヘアミストを持ち歩き、髪が乾燥したと感じる前にスプレーしてください。また、服装の組み合わせ(ウールとポリエステルなど)も静電気を起こしやすいので、間に綿素材を挟むなどの工夫も有効です。
Q2. 暖房をつけたままでも髪を守る方法は?
A. 暖房と加湿器の併用が前提です。その上で、暖房の風が直接当たらない場所にいることが重要です。また、日中も2〜3時間に一度、保湿ヘアミストで髪に水分を補給する「追い保湿」を習慣にしてください。髪の水分量を高く保つことが、暖房による乾燥から守る唯一の方法です。
Q3. 加湿器がない場合の湿度の上げ方は?
A. 部屋の広さにもよりますが、最も簡単なのは「洗濯物の部屋干し」です。濡れたバスタオルをハンガーにかけておくだけでも、数パーセント湿度を上げることができます。また、観葉植物を置く、お湯を張ったコップをデスクに置くなども局所的な加湿には有効です。ただし、結露やカビには注意してください。
Q4. ヘアオイルは朝晩どちらにつけるのが効果的ですか?
A. 目的によりますが、最も重要なのは「夜(お風呂上がり)」です。ドライヤーの熱から髪を守り、就寝中の摩擦ダメージを軽減し、水分を閉じ込めるためです。朝は、夜につけたオイルが残っていればスタイリング剤程度で十分ですが、もしパサつきが気になるなら、ごく少量(米粒1滴程度)を毛先になじませ、日中の乾燥対策として使ってください。
まとめ:秋冬の乾燥対策は「保湿」と「加湿」の二刀流で
秋冬の乾燥対策は「保湿」と「加湿」の二刀流が必須です。
今回は、秋冬に髪がパサパサになる原因と、暖房対策について解説しました。
【秋冬の乾燥対策 3つの柱】
- 洗浄(守る): 38℃のぬるま湯とアミノ酸系シャンプーで、うるおいを奪いすぎない。
- 保湿(補う): ミスト/ミルクで水分を入れ、オイルで蓋をする。日中の追い保湿も忘れずに。
- 環境(加湿): 最も重要。暖房と加湿器はセットで使い、湿度50%〜60%を目指す。
(信頼性レベル2)私のサロンでは、過去10年以上、秋冬(11月〜2月)の乾燥相談を受けていますが、お客様の約8割が「加湿」の重要性を意識していませんでした。髪のケアを変えるのと同じくらい、いや、それ以上に環境を見直すことが、乾燥スパイラルから抜け出す近道です。
高価なトリートメントを使う前に、まずは室内の湿度計と加湿器をチェックしてみてください。今日からできる小さな習慣が、冬の終わりの髪を大きく変えてくれます。
📚 参考文献
- 厚生労働省「健康・快適居住環境の指針」(湿度に関する記述)
- 一般社団法人 日本毛髪科学協会(毛髪の水分量に関する資料)
- 大手空調メーカー公式サイト(暖房と湿度の関係)
- Amazon製品レビュー(2025年10月30日時点)
※本記事は一般情報であり、医療アドバイスではありません。アレルギーや症状が気になる場合は医師に相談してください。
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